R&B、SOUL、ROCKの各分野で活躍したKING CURTIS、本格的なデビューは意外にもJAZZでした。

 

SOUL MEETING(PRESTIGE 7222)

 

元々R&Bの素養を持つKING CURTIS、ジャズ界に本格デビューしての2作目、1960年の録音。この頃のスタイルはGENE AMMONSから、ねちっこさを取ったような感じ。R&Bの影響が感じられるソウルフルな音色ですが、いわゆるコテコテ派ほど、くどくなく、乾いた面もあります。サイドマンはNAT ADDERLEY、WYNTON KELLY、SAM JONES、BELTON EVANS(ドラムス)という布陣。ゴスペル・タッチの「SOUL MEETING」、LEE MORGANバージョンより、しっとりと歌い上げる「ALL THE WAY」と名演奏揃いです。サイドマンの中ではWYNTON KELLYが八面六臂の活躍で、数々の名盤誕生の後押しをしてきたKELLYとしても代表作に入る作品です。将来を嘱望されたジャズ界の宝が、この後R&B、そしてROCKへと転身を図ります。

 

 

 

LIVE AT SMALL’S PARADISE(ATCO 33-198)

 

1966年のR&B作品。ギターやエレキベースが活躍し、サックスが吠える純粋なジャズファンからはソッポを向かれるようなファンキーでブルージーな内容ですが、絶対聴いてほしい曲が2曲あります。一つは「THE SHADOW OF YOUR SMILE」・・有名なBOSSA をまさかのアップテンポで、しかも低重音のサックスが豪快にキメる・・・予想外のアレンジにジャズファンは、間違いなく度肝を抜かれます。もう一つは「BLOWIN’ IN THE WIND」・・・言わずと知れたBOB DYLANの曲ですが、これをソプラノ・サックスのような音色を持つSAXELLOで繊細に歌い上げ感動を誘います。他のリズミックなR&Bの曲とのギャップが激しいため余計に印象に残ります。

 

 

 

LIVE AT FILLMORE WEST (ATCO SD 33-359)

 

上掲ライブ盤より数段強力になったFILLMORE WESTのライブ。ARETHA FRANKLINのバックバンドとして参加した71年のライブのARETHA抜きの・・・要は前座の演奏ですが、これがビックリするほど濃密で・・・。PROCOL HARUM の「A WHITER SHADE OF PALE 」(青い影)、LED ZEPPELINの「WHOLE LOTTA LOVE」(胸いっぱいの愛を)、JERRY JEFF WALKERの「MR.BOJANGLES」を同時に取り上げるアーティストが他にいるでしょうか?プログレに、ハードロックに、シンガー・ソングライターです。もう、これはポピュラー音楽の”ごった煮”、いや”ヤミ鍋”と表現した方が良いかもしれません。しかもR&Bの音の洪水の中に斬新なアレンジで絶妙に散りばめられているのだから、たまりません。

 

それにしても、このアルバムが発売されて数日後に非業の最期を遂げようとは・・・誰が想像したでしょう。