演奏能力の高さや知名度に比し人気がないジャズマンの筆頭は、トロンボーンのJ.J.JOHNSONでしょう。もっとも、これには膨大にあるリーダー作で十分実力を発揮できない本人の責任も大いにあると思います。

 

その実力と魅力を余すところなく伝えているのが、サイドマンとして参加した下掲の3枚、これを聴けば、あなたもきっとJ.J.JOHNSONを見直すことでしょう。

 

 

STAN GETZ AND J.J.JOHNSON AT THE OPERA HOUSE(VERVE MGV-8265)

 

タイトルからCO-LEADER作のように感じますが、VERVEから発売されていること、リズム隊(OSCAR PETERSON、HERB ELLIS、RAY BROWN、CONNIE KAY)が、VERVEのハウス・リズムセクションであることを勘案すると、GETZのリーダー作にJ.J.JOHNSONが客演したと見るのが妥当でしょう。ところが聴き込んでいくうちに、どんどんJ.J.JOHNSONのトロンボーンの印象が強くなってきます。思うにJAY JAYは、共演相手の実力に合わせてしまう傾向があり、大物が相手だと負けじと頑張るのですが、格下の相手だと、それなりにしか吹かないのです。録音された1957年当時のSTAN GETZは、当代一のテナー奏者として飛ぶ鳥を落とす勢い、JAY JAYも気合が入ったのでしょう、「MY FUNNY VALENTINE」のロング・ソロなど見事の一言。
 

 

SONNY ROLLINS VOL.2(BLUE NOTE 1558)

オリジナルは「23」付 、所有盤はセカンドプレス。

これぞオールスター・セッションと言うレベルの豪華メンバー、ROLLINSにMONK、SILVER、CHAMBERS、しかもドラムスは共演者を煽ることでは天下一品のART BLAKEY。JAY JAYは、若手ながら、つわもの揃いのメンバーに接し、しっかり吹かないと埋没してしまう危機感を持ったのでしょう。豪快だけど、いつになくギスギスしたROLLINSの相棒として、トロンボーンという比較的柔らかな音色の楽器を武器に、殺気立った隙のないセッションの緩衝材的な役割で、名盤誕生の原動力になっています。

 

 

 

SONNY STITT、BUD POWELL、J.J.JOHNSON (PRESTIGE LP 7024)

 

ご存知のようにSTITT‐BUD POWELLのセッションとSTITT-JOHNSONのセッションの抱き合わせで、3人が共演している訳ではありません。BUD POWELLのセッションばかり取り沙汰されることが多いのですが、STITT-JOHNSONのセッションも同レベルの快作。JAY JAY以上に、共演相手が手強いと見るや、敵対心をむき出しにして張り切るSONNY STITTを後目に、JAY JAYは、いつになく、どっしりと構えて余裕綽綽の演奏を披露しています。