STAN GETZのようなスター・アーティストには10インチ盤も多数あり、とても全部は蒐集できず、ROOST(一部)、CLEF、PRESTIGEについて触れます

 

 

STAN GETZ VOL.2(ROOST RLP 404)

 

AND SWEDISH ALL STARSとあるようにスウェーデンのミュージシャンとの共演。代表曲「DEAR OLD STOCKHOLM」でGETZ最初のピークを迎えます。GETZには名盤が沢山ありますが、どれか一枚と言われたら、この10インチ盤を推薦します。ただROOSTの10インチは、BUD POWELLにしろGETZにしろ、盤の材料に起因するサーフェイス・ノイズが酷いものがあるので注意が必要です。所有盤は2枚目、最初に入手した盤は酷いノイズが発生していました。

 

 

 

SPLIT KICK(ROOST LP 423)

 

SP音源ですが、名曲揃い。繊細で柔らかで、良く歌う、この頃のGETZの最も美味しい部分を余すことなく聴かせてくれる名盤です。10インチを毛嫌いされる方も多いようですが、ぎゅっと絞った濃厚さは10インチならでは。12インチは余計な添加物(時間調整のための追加曲)が含まれていて味も薄まっています。もっとも状態の良いものが少ないのも事実、状態の良くない10インチを入手するなら、12インチの方がベターなのは当然です。

 

 

 

STAN GETZ PLAYS (CLEF MGC-137)

 

NORMAN GRANZ時代のVERVE系の再発は、ジャケットやタイトルを変えているので紛らわしいことは、以前にも記しましたが、この10インチにも当てはまります。10インチの『STAN GETZ PLAYS』は、12インチ化の際にジャケットを下掲MGC-143の子供の写っているジャケット写真に変更したのです。そして、ここから8曲全曲とMGC-143 のA面4曲を組み合わせて12インチ盤『STAN GETZ PLAYS』(NORGLAN MGN-1042)が作られます。MGC-143のA面4曲は別の日のセッションですが、メンバーが同じなので、12インチも全く違和感はありません。これも名曲の名演揃い、ROOST時代に比べると、GETZが、やや力強くなったように感じます。

 

 

 

THE ARTISTRY OF STAN GETZ(CLEF MGC-143)

 

上掲の『STAN GETZ PLAYS』が同一セッションで纏められていたのに対して、こちらはA面とB面は別セッション。この頃のGETZは、全て傾聴すべき内容ですが、中でも「THESE FOOLISH THINGS」を含む1952年12月29日の演奏(A面)は、屈指の名演です。

 

 

STAN GETZ VOLUME ONE(PRESTIGE PRLP 102)

A面の“FOUR BROTHERS”の4曲は音悪し、B面のGETZのワンホーンの4曲は良好。

 

STAN GETZ VOLUME TWO(PRESTIGE PRLP 104)

A面のワンホーンの音質はまずまず。B面のTERRY GIBBS入りのセッションはモノラルとしては左右に広がる好録音。

 

LEE KONITZ AND STAN GETZ(PRESTIGE PRLP 108)


 

108はタイトルとLEE KONITZのジャケットで紛らわしいのですが、両者の共演はなく片面はLEE KONITZ、もう一方がSTAN GETZの独立したセッションです。このGETZの面の4曲と上掲の102から4曲、104から4曲の計12曲で、12インチLP『STAN GETZ QUARTETS』(PRESTIGE 7002)が作られました。SP盤を基に作られたPRESTIGEの10インチには「音」が邪悪なセッションも含まれており、合わせて初期の10インチ盤の盤質が良くないため、RVGがリマスタリング行った12インチLPの方をお勧めします。内容的には名演揃い、ここでも旬のGETZが聴けます。

 

3社の10インチ盤を音の良い順に並べると、CLEF→ROOST→PRESTIGEになります。

 

それにしても1950年代の初頭に、これだけ洗練された音楽を創り上げ、モダンジャズの最先端を走っていたSTAN GETZ、もっと評価されてしかるべきでしょう。