PRESTIGEレーベルで思い出すのが神保町にあった廃盤店”アディロンダック“、ジャズ批評の「プレスティッジ・ブック」に掲載されたジャケ写真の大半は、ニューヨーク在住が長かった店主が蒐集したレコードだったようです。勤務先から地下鉄を利用すると神保町が至近だったので、早めに仕事が終わった時には会社帰りによく訪問しました。開店当初は、店主自身のコレクションを出品されていて、レア盤も多くかなり格安だったと思います。ジャズの知識は豊富で、いろいろと教えていただきました。
今回は1317番から1321番迄です。
GERRY MULLIGAN VOL.1 (PRESTIGE PREP 1317)
KAPER / ROUNDHOUSE / FUNHOUSE / BWEEBIDA BOBBIDA
後にPACIFIC JAZZやVERVEで一世を風靡するMULLIGANの初リーダー作はPRESTIGEへの吹き込みでした。NICK TRAVIS、ALLEN EAGERを擁するTENTETと大編成の録音で、のちのGERRY MULLIGAN CONCERT JAZZ BANDの下地は、この時点で出来上がっていました。下掲の1318番の一部及び10インチ(PRESTIGE 141)と併せて12インチ化(PRESTIGE 7006)されました。オリジナルはSP音源です。
GERRY MULLIGAN VOL.2 (PRESTIGE PREP 1318)
IDE'S SIDE / MULLENIUM / I MAY BE WRONG / SO WHAT
上掲の1317番とともにMULLIGANとしては人気薄の作品ですが、一曲一曲の完成度は高く、充実した演奏内容です。「I MAY BE WRONG」と「SO WHAT」は、MULLIGAN、ZOOT SIMSを含む、ベースのCHAUBBY JACKSON‘S ORCH.の演奏で ZOOT SIMS 名義の『GOOD OLD ZOOT』(NEWJAZZ 8280)で12インチLP化しています。SP音源。
LEE KONITZ WITH MILES DAVIS (PRESTIGE PREP 1319)
EZZ-THETIC / ODJENAR / HIBECK / YESTERDAYS
『BIRTH OF COOL』という高名なアルバムがあるMILESですが、本当にCOOLだったのはLEE KONITZと組んだ、このセッションの頃です。MILESのトランペットとTRISTANO派の面々が全く違和感なく溶け込んでいます。オムニバス・アルバムの『CONCEPTION』(PRESTIGE 7013)で12インチ化。
MILES DAVIS SEXTET (PRESTIGE PREP 1320)
MORPHEUS / DOWN / BLUE ROOM / WHISPERING
1951年1月の録音ながら、MILESにSONNY ROLLINS、BENNIE GREENのフロント陣にJOHN LEWIS、PERCY HEATH、ROY HAYNESのリズム隊は、新しいジャズの息吹を感じます。後年『MILES DAVIS AND HORNS』(PRESTIGE 7025)で12インチ化されます。 MILES、ROLLINSコレクターは押さえて置きたい一枚。
FATS NAVARRO QUINTET (PRESTIGE PREP 1321)
INFATUATION / WAILING WALL /STOP / GO
一際、鮮やかなFATS NAVARROのトランペットの音を聴くたびに夭折が惜しまれます。NAVARROにDON LANPHERE(テナー)、AL HAIG、TOMMY POTTER、MAX ROACHの布陣。NAVARROのPRESTIGE録音は、この1949年9月の4曲だけなので極めて貴重です。トランペットのオムニバス盤『MODERN JAZZ TRUMPETS』(PRESTIGE 113) に収録、SP音源です。
(続く)