PRESTIGEのEP盤の蒐集の困難さはオリジナルLPの比ではありません。もちろん価格は遥かに安価ですが、如何せん“玉”が少なすぎます。発売枚数が多かった？MJQなど一部を除けば、レコ屋で遭遇することは稀、「見つけた！」と思っても良く見ると同じジャケを使ったスウェーデンMETRONOME盤で落胆することも度々。結局、足で稼いで入手できたPRESTIGEのEP盤は20枚程度、残りはネットが普及後、EBAY等で入手したものです。
それでは前回の続きです。
TEDDY CHARLES WEST COASTERS (PRESTIGE PREP 1307）
THE MAN I LOVE / LAVONNE / SO LONG BROADWAY / PAIL'S CAUSE
リーダーのTEDDY CHARLESというよりWARDELL GRAY、それより何よりSONNY CLARKの初レコーディングとして知られるEP盤、後にWARDEL GREYのアルバム（PRESTIGE 7008）に収録されます。目立つのはWARDELL GREYとTEDDY CHARLESでSONNY CLARKには既に将来を約束されたスターの片鱗が・・・・と言えるレベルには、この時点では達していません。
LENNIE TRISTANO QUINTET FEATURING LEE KONITZ（PRESTIGE PREP 1308）
SUBCONSCIOUS LEE / PROGRESSION /RETROSPECTION /JUDY
トリスターノ派の経典レコード。TRISTANO、KONIZ、BILLY BAUERらとのPRESTIGE最初のセッション。次回掲載予定の1313番、1314番と抱き合わせ12インチLP化（PRESTIGE 7004）されます。但し録音は1949年で、オリジナルはSP盤。KONITZの全レコーディングの中で最も切れ味鋭い演奏が、ここで聴けます。意外にメロディアスなTRISTANOのピアノも聴きものです。
STAN GETZ AND HIS FOUR BROTHERS（PRESTIGE PREP 1309）
FOUR AND ONE MOORE / FIVE BROTHERS / BATTLE GROUND / BATTLE OF SAXES
ここから暫く、STAN GETZが続き、当時のPRESTIGEが強力にGETZを売り出そうとした姿勢が窺えます。往年のWOODY HERMANのFOUR BROTHERSを範とした5人のテナー（GETZ、ZOOT、AL CORN、ALLEN EAGER、BREW MOORE）のアンサンブルが聴きもの。ZOOT SIMS名義の10インチと抱き合わせ12インチ化（PRESTIGE 7022）されました。
STAN GETZ QUARTET VOL.1（PRESTIGE PREP 1310）
INDIAN SUMMER / CRAZY CHORDS / MAR-CIA / LONG ISLAND SOUND
ピアノにAL HAIG、ベースGENE RAMEY、ドラムにSTAN LEVEYを擁したGETZ、1949年のPRESTIGE最初のセッション（4曲）。ROOSTのスウェーデン・ミュージシャンとの作品と共にCOOL GETZの真髄が、ここにあります。下掲の1311番と、次回に掲載予定の1313番（STAN GETZ QUARTET VOL,3）と共に後年12インチLP化（PRESTIGE 7002）されます。ジャケの版画はプロデューサー、DON SCHLITTENの手によるもの。
STAN GETZ QUARTET VOL.2（PRESTIGE PREP 1311）
TOO MARVELOUS FOR WORDS / WHAT'S NEW /THERE'S A SMALL HOTEL / I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN
上掲の1310番からベースがTOMMY POTTERに、ドラムがROY HAYNESに替わり、リズムが強固になったせいか、良く歌うGETZが堪能できます。これは1950年1月録音の4曲で、GETZの10インチは、同じ録音日のものが分散収録されていて、セッションごとに、まとめたEP盤の方がコレクターとしては重宝します。
(続く）