『COOL STRUTTIN’』での名演や柔らかい音色で、ファンも多いART FARMER、40年以上に渡り、コンスタントにリーダー・アルバムを作り続けましたが、原点は10インチ時代に遡ります。

 

WORK OF ART (PRESTIGE PRLP 162)

 

多作家のART FARMER、10インチLPの時代(1952~1954年)だけでも6枚もリーダー作があり、当時MILES DAVISやBILLY TAYLORに比肩する人気があったことが覗えます。この10インチは、後に『ART FARMER SEPTET』(PRESTIGE 7031)として12インチ化されていますがSP盤も存在、1953~1954年の録音なのでSP盤と10インチLPは同時発売だと思われます。QUINCY JONESがピアノの他にアレンジも担当、ハイライトはKENNY DORHAMの「AFRODISIA」似の踊れる「MAU MAU」で、1980年代のクラブ・ジャズ・ムーブメントで一躍脚光を浴びました。この時代としては、斬新なMONK MONTGOMERYのエレキ・ベースに驚かされます。録音は初期のBLUE NOTEも担当したDOUG HAWKINS、DEAD WAXには、耳マークと7E(識別マーク)、PLASTYLITE社で製造されたことが分かります。

 

 

 

ART FARMER AND CLIFFORD BROWN WITH THE SWEDISH ALL STARS (PRESTIGE LP 167)

 

この10インチ(167番)には上掲の如く別ジャケが存在、そちらはCLIFFORD BROWNの名前が先(上)に記載されています。BENGT HALLBERG、AKE PERSSON、LARS GULLINら、スウェーデンの一流どころとCLIFFORD BROWNとART FARMERの2トランペットの共演です。但しQUINCY JONESが音楽監督を務めているためアレンジ色が強く、PRESTIGEの一連のインプロビゼーションを重視した録音とは一線を隔します。CLIFFORD BROWNが急逝したため『CLIFFORD BROWN MEMORIAL』(PRESTIGE 7055)として12インチ化されています。これもPLASTYLITE社製。
 

 

 

ART FARMER QUINTET (PRESTIGE PRLP 177)

 

何と言ってもSONNY ROLLINS、HORACE SILVERの参加が魅力の作品。SONNY ROLLINSがサイドマンとして参加しているセッションは数が少なく貴重で、短いながらもROLLINSらしいソロが聴けます。後出のPRESTIGE 193と併せて『EARLY ART』(NEWJAZZ 8258)として12インチ化されています。PLASTYLITE社製。

 

 

 

 

ART FARMER QUINTET (PRESTIGE LP 181)

ART FARMER QUINTET (PRESTIGE LP 209)

 

ちょっと順番が前後しますが、この2枚、リズムセクションは替わるものの共にGIGI GRYCE とのコンビで、名盤『WHEN FARMER MET GRYCE』(PRESTIGE 7085)の元となるオリジナルの10インチ盤です。リズムセクションは181番の方が、良くスウィングしていると思いますが、FARMERとGRYCEコンビの絆が、より強まるのは209番の方で 「BLUE LIGHTS」等のGRYCEの名曲も含まれているため、愛着を感じます。181番はRVG録音、但しPLASTYLITE社製ではありません。209番もRVG録音、こちらは耳マーク、PLASTYLITE社製です。この後、GIGI GRYCEはDONALD BYRDとJAZZ LABを結成しますが、相性はBYRDよりもFARMERの方が良かったと思います。

 

 

 

ART FARMER PLAYS(PRESTIGE LP 193)

 

ピアノにWYNTON KELLYを擁するワンホーン・カルテット。冒頭の「I’VE NEVER BEEN IN LOVE BEFORE」のCLIFFORD BROWNを想わせるようなブリリアントなトランペットの音に驚嘆、難しいと言われるトランペットのワンホーンですが、十分期待に応える出来栄えです。FARMERとKELLYのファンは入手すべき傑作アルバムです。そしてRVGが手掛けた中でも、特に生々しく鮮烈な音で録音されたセッションだと思います。なおPLASTYLITE社製ではありません。前記どおり177番と併せて12インチ化されています。