10インチの女性(ジャズ)ヴォーカルを、まとめて1回の記載で済まそうとしている・・・・私のコレクションの中での女性(ジャズ)ヴォーカルの位置づけを端的に物語っています。

 

 

 

BLACK COFFEE / PEGGY LEE (BRUNSWICK LA 8629)

 

10インチ盤全体に言えることですが、スレ、キズが多い状態の悪いものが多く、ニア・ミントのオリジナル盤を入手するのは困難です。このアルバムも米・DECCA10インチ・オリジナル盤を所有していましたが、チリチリ・パチパチ、音楽に集中できませんでした。そんな折、入手したのが無傷の英・BRUNSWICK盤、ジャケットの雰囲気は若干違いますが、今はセピア色の英盤に満足しています。

 

 

 

LUCY ANN POLK WITH DAVE PELL OCTET (TREND TL 1008)

 

LUCY ANN POLKはMODEの12インチ盤も所有していますが、この10インチ盤に比べると初々しさや可愛らしさが足りません。録音は極めて少ないながら、この10インチ盤に彼女の魅力が、全て詰まっています。女性ヴォーカルが、こういうレコードばかりだったら、きっと夢中になって蒐集していたと思います。

 

 

 

TEDDY WILSON- BILLE HOLIDAY (COLUMBIA 6040)

 

BILLIE HOLIDAYというより共演しているLESTER YOUNGの素晴らしさを知った盤。もちろんSP盤でも所有しています。1930年代後半に吹き込まれた珠玉の作品は、今でも全く色褪せていません。中でも「FOOLIN’ MYSELF」と「WHEN YOU‘RE SMILING」は傑作中の傑作。それにつけても残念なのは、ピンクの汎用ジャケット、せっかくの名盤が台無しです。

 

 

 

 OVERSEAS / MARLENE DIETRICH (COLUMBIA GL 105)

 

ご存知「リリー・マルレーン」です。これがジャズ・ヴォーカルの範疇かと言われると困るのですが・・。第二次世界大戦中の戦場でドイツ軍のみならず、連合軍の兵士たちからも愛された郷愁を誘うメロディ(当時はララ・アンデルセン)は、放送禁止になり、広く知られるようになったのは、このマレーネ・デイトリッヒのバージョンからです。「リリー・マルレーン」以外は、アメリカのスタンダードをドイツ語で歌っています。

 

 

 

NIGHT IN MANHATTAN / LEE WILEY (COLUMBIA CL 6169)

 

一番好きな女性ジャズ・ヴォーカリストのマストな作品。10インチ盤では飽き足らず、EPやSP・BOXも所有しています。今のニューヨークには、なんの魅力も感じませんが、LEE WILEYの時代やオードリー・ヘップバーンの『ティファニーで朝食を』の頃のニューヨークは、世界中の人々の憧れの街だったのでしょうね。

 

 

ジャズ・ヴォーカルに限らず、10インチ盤が不人気な理由は、フラット盤がほとんどなため、キズ・スレ等、状態の良くないものが多いうえに、盤の材質自体に問題のあるものが散見され、加えてRIAAカーブ統一前で、EQカーブ調整が必要なためです。有名盤のほとんどが12インチ化されているため、多くのコレクターは、敢えてハードルの高い10インチ盤には手を出さないのでしょう。