BLUE NOTE編に続きPRESTIGE編です。

 

 

レコード店の店主であったBOB WEINSTOCKによって設立されたPRESTIGEレーベルはMILES DAVIS、SONNY ROLLINS、STAN GETZ、LEE KONITZ、MODERN JAZZ QUARTET、JACKIE McLEAN、PHIL WOODS、THELONIOUS MONKら、モダンジャズの精鋭らのアルバムを次々と発売、この時点でPRESTIGEはBLUE NOTE、RIVERSIDEより一歩も二歩も先行していました。1971年FANTASYに買収されるまでPRESTIGEレーベルを維持できたのは、この時代のストックが大いに貢献していると思います。

 

 

ところがPRESTIGEの待遇の悪さに、主要ミュージシャンたちは他レーベルに移籍、責任をとって? BOB WEINSTOCKは1958年に第一線から退きます。これは他のインディペンデント・レーベルのオーナーと違い、レコード店の店主として一端は経済活動を経験していたため、仕入れは安く抑える、無駄な経費は使わせないという考えをWEINSTOCKは持っていて、それが芸術家肌のジャズメンには受け入れられなかったのが原因だと思います。後任のEDMOND EDWARDS(黒人)は、主力アーティストが抜けたため、オルガンやブロー・テナーを上手く組み合わせた黒人向けのSOUL JAZZ路線に方向転換、これが成功します。EDWARDSは1962年に退任しますが、PRESTIGEはジリ貧になりながらも60年代を、なんとか生き延びます。

 

そんなPRESTIGEで、最初のヒットになった「BLUES UP & DOWN」を生み、モダンジャズマンが大挙して移籍した後は、正にSOUL JAZZ路線の主力としてレーベルを牽引したのがGENE AMMONSです。AMMONSがPRESTIGEに残したリーダー作は、優に30作を超えていて、そのうち7年以上は、麻薬禍で入牢していたことを考慮すると、人気の高さが分かります。

 

 

GENE AMMONS ALL STAR SESSIONS (PRESTIGE LP 7050)

 

GENE AMMONSを語るときには絶対外せないアルバム。SP、10インチ時代のヒット曲(BLUES UP & DOWN)を含むSONNY STITTとのテナー・バトルのB面が何と言っても聴きもの。A面はPRESTIGEお得意のALL STAR SESSION、7000番台に数多く存在するALL STAR SESSIONの先鞭をつけたのが、このGENE AMMONSのセッションです。数あるPRESTIGEのALL STAR SESSIONは、はっきり言って玉石混交、中にはダラダラと続くものもあれば、適度な緊張感を持った素晴らしい作品もあります。

 

 

 

NICE AN‘ COOL (MOODSVILLE 18)

 

60年以降のものを一枚。PRESTIGEの傍系MOODSVILLEに録音した傑作。MOODSVILLEは、その名のとおりソフトなバラード調で統一した内容で、ブローが得意なテナー奏者の別の面が聴ける大好きなレーベル。このレーベルには、COLEMAN HAWKINSの優れたアルバムが数多くあり、必聴です。ここでのAMMONSは、RICHARD WYANDSの格調が高く、ジェントルなピアノをバックに、有名スタンダードをオーバー・ブローにならないよう、優しく丁寧に歌い上げています。

 

 

前回のBLUE NOTEのJIMMY SMITHも、今回のPRESTIGEのGENE AMMONSも、当時の売れ筋(人気)≠現在の人気(評価)なところが、なんとも興味深いですね。