PRESTIGEに数多くのリーダー作を残しているCOLTRANEですが、その半数以上は、IMPULSEでの絶大な人気にあやかり、後年お蔵入りしていた録音を発売したもの。同様なケースはATLANTICでも。今回は、ATLANTIC在籍中にリアルタイムで発売されたアルバムを紹介します。

 

 

GIANT STEP (ATLANTIC 1311)

オリジナルはブラック・レーベル、所有盤はブルズアイと呼ばれる、ごく短期間存在したセカンド。

 

良く言われるように、タイトル名どおりCOLTRANEが飛躍した1枚。PRESTIGE時代に垣間見えた”たどたどしさ”は、全くなくなり自信に満ち溢れています。全曲COLTRANE作。しかもタイトル曲の他にも「COUSIN MARY」「SYEEDA’S SONG FLUTE」「NAIMA」「MR.P.C.」と代表曲のオンパレード、COLTRANEが、如何にATLANTIC移籍一作目に賭けていたかが手に取るように分かります。PAUL CHAMBERSのベースが「ぼわん、ぼわん」と輪郭がはっきりしない、締まりのない音に録音されているのが残念です。

 

COUSIN MARY / NAIMA (ATLANTIC 45-5003)、シングル盤は両面EDITバージョン。ATLANTICのシングル盤の音はLPより確実に劣ります。

 

 

 

COLTRANE JAZZ (ATLANTIC 1354)

 

2つのエポックメイキングなアルバムに挟まれて、随分と印象が薄くなっていますが内容は一級品。また1曲だけですが、McCOY TYNER、ELVIN JONESと黄金カルテットの原型で初めてレコーディングが行われたことは意義深いと思います。前作で温めていた、とっておきの曲を全て放出したためか、こちらの自作はブルース調の地味な曲ばかり。そのため3曲のスタンダードを入れて変化を付けています。前作で気になったPAUL CHAMBERSのベースの音は、やや改善されました(それでも不満が残ります)。
 

 


 

MY FAVORITE THINGS(ATLANTIC 1361)

オリジナルは上掲『COLTRANE JAZZ』と同じでレーベル中段・右端のファンが白(ホワイト・ファン)、所有盤はセカンドの黒(ブラック・ファン)

 

この後何度もレコーディングをし、COLTRANEの代表曲になった「MY FAVORITE THINGS」、初演から、いきなり13分40秒もの長尺で、しかも既に完成の域に達していることに驚きます。またソプラノ・サックスの可能性を広く世に知らしめたという点でも「MY FAVORITE THINGS」と「EVERYTIME WE SAY GOOVBYE」は、歴史的演奏に数えられます。『GIANT STEP』が全曲自作だったのに対し、こちらは全曲スタンダード、打って変わって肩の力が抜けた好演となっています。ピアノにMcCOY TYNER、ドラムスにELVIN JONESを配置した黄金カルテットが本格的に始動した、これもエポックメイキングな1枚。

 

MY FAVORITE THINGS(PART 1) / 同 (PART 2) (ATLANTIC 45-5012)、LPでは13分40秒にも及ぶタイトル曲がシングルではA面(3分)、B面(2分40秒)に。但しA面とB面はともにイントロからスタート、B面はA面の続きではないようです。

 

ATLANTICで、リアルタイムに発売されたCOLTRANEのレコードは、上掲3枚の他に『OLE' COLTRANE』がありますが、未入手。なお『COLTRANE PLAYS THE BLUES』や『COLTRANE'S SOUND』『THE AVANT GRADE』は、いずれもIMPULSE移籍後に陽の目を見たアルバムです。