WYNTON KELLYはハード・バップ期にリーダーとしてよりサイドマンとして圧倒的に存在感を示していました。KELLYのおかげで名盤になったものも多数あります。今回は好録音でKELLYの魅力を十二分に引き出したCOLUMBIAレーベルを取上げます。

 

MODERN JAZZ PERSPECTIVE / JAZZ LAB QUINTET WITH JACKIE PARIS (COLUMBIA CL 1058 )

 

DONALD BYRDとGIGI GRYCEによるJAZZ LAB、全6作の最終作。編曲重視の作品が多かった反省か、これはインプロビゼーションにも重きを置いています。それと驚くのはJAKIE PARISが参加していること。冒頭いきなりJAKIE PARISのスキャットが聴こえてきた時は「レコードが違う?」と本気で思いました。JAZZ LABのLABはLABORATORY(研究室、実験室)の略で仰々しい名前の割には、編曲重視であまり新しい試みは少なかったように思います。中では、これがバラエティに富んでいて一番面白いかもしれません。KELLYは、このアルバムにのみ参加、リズム・セクションの一員として手堅く役目を果たしています。B級名盤。

 

 

SOMEDAY MY PRINCE WILL COME / MILES DAVIS (COLUMBIA CL 1956)

 

MILESのアルバムの中では決してエポック・メイキングな作品では、ありませんが愛聴盤にされている方も多いのではないでしょうか。

 

あまりに有名なアルバムなので、多言は不要だと思いますが、タイトル曲のハイライトはMILESの華麗なミュート・プレイをも凌ぎ、何と言ってもMOBLEYの後を受けたKELLYの嬉しくて嬉しくて、どうしようもないようなウキウキ感、高揚感いっぱいのピアノ・ソロとマイルスを挟んだ後の豪快なCOLTRANEのソロに尽きます。数々の名盤の誕生に寄与したKELLY、中でも、このアルバムでの貢献度はピカイチ

 

 

MILES DAVIS IN PERSON FRIDAY & SATURDAY NIGHTS ( COLUMBIA CL 1694 ~1695)

 

ハード・バップとモードの狭間に位置し、MILES以外のメンバーは明らかにハード・バップよりの人選。MILESの代表作に選ばれることはなくても、KELLYの活躍が華々しい作品として高名です。KELLYのロング・ソロが随所で聴けますが、聴きものは何と言っても「SO WHAT」。このモードの申し子のような曲、MOBLEYとKELLYは悪戦苦闘しながら、いつもと全く違うソロで熱演しています。以前にも記しましたが2枚組でなく「SO WHAT」を含む1枚にまとめていたら、人気アルバムの仲間入りをしていたでしょう。あまり評価されることがないJIMMY COBBですが、狭いナイトクラブには最適なドラマーだと思います。