柔らかい優しい印象のピンク色、なんとなくホンワカとして幸せな気持ちになり、心も体も若返ります。緊張も和らげる効果もあるようで、あまりマイナスのイメージはありません。但し度が過ぎると逆効果になるようですが・・・。今回はピンク色の素敵なジャケットのジャズ・レコードを取上げてみました。
LIONEL HAMPTON PLAYS LOVE SONGS (VERVE MGV-2018)
むぎわらの~、ぼうしのきぃ~みは~と思わず口ずさみたくなるようなジャケット。
VERVE系のレコードは中身の音楽とジャケットのイメージが全く合わないものが散見されますが、これはピッタリです。アルバムの解説の冒頭に、取上げている曲は20年以上前のものだけど全く古くならないと記載されていますが、発売から更に60年以上の年月が経過し、完全にスタンダード化している名曲ばかりです。リズム・セクションはOSCAR PETERSON、RAY BROWN、BUDDY RICHの名手揃い、剛腕BUDDY RICHも繊細なプレイに徹していて安心して聴けます。
HAPPENINGS / BOBBY HUTCHARSON (BLUE NOTE 4231)
いわゆる新主流派を代表するレコード、同じVIBRAPHONE カルテットでも上掲のLIONEL HAMPTONとは隔世の違いがあります。これが人気盤になったのは「MAIDEN VOYAGE」とHANCOCKの参加と垢抜けたジャケットのおかげです。他のHUTCHERSONのレコードと比べると格段に聴きやすいと思います。
EVILUTION / GRACHAN MONCUR Ⅲ(BLUE NOTE 4153)
これも新主流派を代表する名盤ですが、リーダーよりもサイドマンの豪華さで購入した一枚。なにせLEE MORGAN、JACKIE McLEAN、BOBBY HUTCHERSON、TONY WILLIAMSが参加しているわけですから。「MONK IN WONDERLAND」では実際には、生涯一度もMONKと共演のなかったMcLEANやMORGANがMONKの脇で演奏しているかのような錯覚に陥ります。不人気楽器のトロンボーン、彼以降に名のある奏者が輩出された記憶はありません。そうすると個人的には「最後のトロンボーン奏者」と呼んでも良いのかもしれません。
WITH A SONG IN MY HEART / IKE QUEBECK (BLUE NOTE GXK-8190 )
ジャケットで魅了したキングの「ブルーノート未発表シリーズ」の中でも最も素敵なジャケット。オリジナルの米LTシリーズの画一的なジャケが酷いだけに、より魅力を感じます。オルガンの使い方が控えめでラウンジ・ミュージックを聴いているような心地良さがあります。内容が良いだけにRVGがマスタリングした音で聴きたかったというのが本音。
SHELLY MANNE & HIS FRIENDS (CONTEMPORARY C 3527)
ANDRE PREVINはクラシック音楽の素養があり、繊細な面も感じられますが、鍵盤を強打するような奏法が目立ち、あまり好きではありません。でも、このレコードはミュージカルとしては最多のヒット曲を生み出した「MY FAIR LADY」が題材で、曲の良さに救われました。そして何と言っても淡いピンクの素敵なジャケット、これで名盤の仲間入り。
上掲盤は大きく「MY FAIR LADY」の表示の無いオリジナル・ジャケット、但し物凄い枚数がプレスされている超ヒット盤なので、DEADWAXのマトリックス・ナンバーも二ケタのものが多く、最初に入手したオリジナルジャケにもD7/ D7の盤が入っていました。(中身が入換えられた? 後年D1 /D1盤入手・上掲画像)
他にもピンク色基調のジャケットの有名どころとしては、SONNY ROLLINS『A NIGHT AT VILLAGE VANGUARD』や『WADE LEGGE』(BLUE NOTE 5031、10インチ)、BILL EVANSの『WALTZ FOR DEBBY』等があります。特に『WALTZ~』は、この淡いピンク色の素敵なジャケットでなかったら、モダンジャズ史上最高のヒット作にはならなかったと思います。