THELONIOUS MONKの真髄は全26枚のSP盤にあると思っていますが、SP時代にソロ・ピアノの演奏はありません。初めてソロ・ピアノに取り組んだのが・・・・。
THE PROPHET(VOGUE LD.503.30)
パリ録音、1954年6月、PRESTIGEのリーダー・セッションの合間、あのMILES DAVISとのクリスマス・セッション(喧嘩セッション)の半年前の録音です。最初のピアノ・ソロのアルバムとしてとても新鮮、しかも代表曲の「ROUND MIDNIGHT」他MONKの代表曲が目白押し、入門編としても最適な1枚。後年の余裕十分のMONKも良いですが、ここには、やや緊張気味の中にも初めて誰にも邪魔されず思う存分ピアノが弾ける喜びが溢れています。
オリジナルは10インチ。12インチ化の際に当時ライセンス契約があったBLUE NOTEの既発曲(4曲、ピアノ・ソロではありません)で補充しています。ところが、この追加曲がオリジナル音源と比べると異常に音が悪いのが残念です。VOGUEの録音が抜群なだけに目立っています。
オリジナル10インチと同じデザインのスウェーデン盤EP
THELONIOUS HIMSELF(RIVERSIDE 12-235)
VOGUE盤に比べると明らかにMONKが弾くピアノの音数が少なくなっていて、ジャケットのイメージに重ね合わせ夜遅く一人静かにボリュームを絞って聴くのが、このレコードの唯一無二の鑑賞法かと思います。
それほど重苦しさだけが強調されていて「MONK、私生活で何かあったの?」と余計な心配までしてしまいます。1曲だけCOLTRANEとの共演「MONK’S MOOD」が入っているのは、さすがにこんな陰鬱なソロ・ピアノでは売れないと思ったRIVERSIDE側の話題作り?
THELONIOUS ALONE IN SAN FRANCISCO(RIVERSIDE 1158)
過去に拙ブログで、このアルバムは、何故ピアノ・ソロなのにモノラルとステレオがあるのか?音の違いは?等についてコメントしています。
https://ameblo.jp/noriten226/entry-12478056606.html
前作(THELONIUS HIMSELF)の異様なムードから一転、小春日和を連想させるような優しいピアノの音色に心が和みます。MONKのソロ・ピアノの傑作であると共にRIVERSIDEの中でも屈指の一枚だと思います。ステレオ盤を強くお薦めします。
SOLO MONK(COLUMBIA CL 2349)
メジャーのCOLUMBIAらしく録音は抜群です。自作曲ばかりでなくスタンダードも多く取り上げ、当時のライブの定番曲も「RUBY、MY DEAR」くらいで新鮮味がありますが、どことなく影があり寂し気な雰囲気が漂い秋の夕暮れを連想させます。個人的には大好きな「ASK ME NOW」が聴けるのが何より嬉しいですね。
全く印象が違う4枚のMONKのピアノソロ・アルバム、その日の気分に合わせて・・。