HUB-TONES (BLUE NOTE 4115)

 

『HUB CAP』『READY FOR FREDDIE』と難解な方向に向かっていたのに、冒頭の歌心たっぷりの「YOU’RE MY EVERYTHING」に意表を突かれます。オープンで、バリバリと吹く印象が強いHUBBARD、BILL EVANSの『INTERPLAY』(RIVERSIDE 445)で、小気味よいミュートを披露していて感心したことがありましたが、ここでもミュートが聴けます。ともに1962年の録音、ちょっと悩んでいた時期なのかもしれませんね。一番バリバリと吹かないHUBBARDが、ここにいます。何故なのでしょう?答えは曲にありました。「LAMENT FOR BOOKER」、BOOKERとは前年に23歳の若さで夭折したBOOKER LITTLEのこと、彼に捧げた曲だと分かると・・・・なるほど、全てが理解できました。

 

BREAKING POINT(BLUE NOTE 4172)

45-1908「BLUE FRENZY / MIRRORS」、BLUE FRENZYは6:23→3:10、MIRROWSは6:08→3:23と大幅にカットされたバージョン。

 

ジャズを聴き始めた頃は、これがHUBBARDの代表作とされていました。でも残念ながらシングル盤しか所有していません。前回取上げた3枚と合わせてHUBBARDのBLUE NOTEのシングル盤は4枚で全てです。

 

 

BLUE SPIRITS(BLUE NOTE 4196)

 

恥ずかしいことに、長い間『READY FOR FREDDIE』(4085)と『BLUE SPIRITS』(4196)の区別が付かず結果、『 READY FOR FREDDIE』は、とうとう入手することが出来ませんでした。原因は同じようなジャケットと、両盤にEUPHONIUMという管楽器が入っていたこと。

 

抜きん出て入るのはタイトル曲、後年のロフト・ジャズを思わせるような暗い曲調にSPAULDINGのフルートが実に効果的に使われています。メンバーの中では、時代遅れ感があるMOBLEYの起用は、疑問視されますが、モードの緊張感を和らげる役割を果たしていて、MOBLEYの参加したセッションの方が好ましい結果に繋がりました。

 

 

 

THE NIGHT OF THE COOKERS LIVE AT CLUB LA MARCHAL(BLUE NOTE 4207、4208)

 

 

ニューヨーク・ブルックリンのクラブ「LA MARCHAL」でのライブ。LEE MORGANFREDDIE HUBBARD共演は、これが最初で最後だと思います。この手の同楽器のバトルは、ある意味、雌雄を決するので、トップの座が入れ替わるリスクを含んでいます。勝者は更に大きく飛躍しますが、敗者は・・・・。トランペット・バトルで思い起こされるのがDONALD BYRDとLEE MORGANが、バトルを繰り広げた『HANK MOBLEY SEXTET』(BLUE NOTE 1540)。CLIFFORD BROWN亡き後、若手NO.1と目されていたDONALD BYRDですが、デビュー間もないLEE MORGANに打ちのめされ、トップの座を譲ります。ただ一度だけの顔合わせでした。その後10年近くLEE MORGANの天下が続きますが、ようやく脅かす存在が現われました。

 

しかしHUBBARDのレギュラー・バンドにLEE MORGANが、ゲスト参加いう形を取っているため、バトルと言えるのは4207の「PENSATIVA」のみで、全編バトルを期待すると肩透かしを食らいます。バトル部分は強烈、凄すぎですが、互角、引き分けだと思います。

 

 

このレコード、録音はRVGではなくORVILLE O’BRIEN、RVGはRE-RECORDING & MASTERINGと記載されています。ライブの再録って?もちろんDEAD WAXにはVAN GELDER刻印があります。イングルウッドに移ってからのRVGは安定した録音が多かったのですが、これは他人の録音をマスタリングしたため、かつてのようにトランペットの音はリミッターが外れ、鼓膜が張り裂けんばかりに再録音?されています。ただ全体に音は良くありません。録音は悪いけど、貴重なHUBBARDとMORGANの共演だったのでRVGが手を加えて発売したのでしょう。

 

ところで4208の「BREAKING POINT」、4172番のタイトル曲と同じ曲なのでしょうか?