以前にも記しましたが、HANK MOBLEYのように大人しく、楽器の音も小さいタイプには、煽って煽りまくるART BLAKEYのようなドラマーが必要で、代表作『HANK MOBLEY QUARTET』(BLUE NOTE 5066・・・10インチ)や『SOUL STATION』(BLUE NOTE 4031)は、いずれもART BLAKEYがドラムを担当しています。JAZZ MESSENGERSは、MOBLEYが自身の能力を十二分に発揮できたグループでした。

 

 

THE JAZZ MESSENGERS AT THE CAFÉ BOHEMIA VOL.1& 2 (BLUE NOTE 1507、1508)

 

オリジナル住所はレキシントン、R付き47-63はサードかフォース・プレス。

 

BLUE NOTEのメイン1500番台も1501~1506番迄は、SPや10インチを12インチLP化したものでしたが、このJAZZ MESSENGERSは、BLUE NOTEがオリジナルが12インチLPのものとしては初めて発売したレコードで、会社側から如何に期待されていたかが、窺われます。ただCLIFFORD BROWN、LOU DONALDSONがフロントを務めたBIRDLANDのライブに比べると地味な感じは否めません。冒頭のメンバー紹介で、MOBLEYは「NEW STAR」と紹介されていますが、CLIFFORD BROWNの時は「TRUMPET SENSATION」でしたから・・・。

VOL.1、VOL.2とも甲乙付け難い内容ですが、MOBLEYファンは、十八番の「AVILA & TEQUILA」が入っているVOL.2を躊躇なく選択するでしょう。

 

 

 

JAZZ MESSENGERS(COLUMBIA CL 897)

 

トランペットがKENNY DORHAMからDONALD BYRDに替わり、グループ全体のサウンドは明るくなりました。トランペットの存在感が増した分MOBLEYは、目立たなくなると思われがちですが、煌びやかなBYRDと落ち着いたMOBLEYの対比は良好で、ラテン調の曲が多いのも親しみやすいと思います。ただライブにて本領を発揮するグループなので全体に大人し目な印象は拭えません。

 

この頃、既にSILVERとBLAKEYの間では秋風が吹き始めていたと言われ、名曲「NICA’S DREAM」を提供していますが、ピアノが目立つのは「THE END OF A LOVE AFFAIR」くらいなのが、なんとも寂しいですね。

 

 

AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD VOL1 & VOL.2 (BLUE NOTE 4015、4016)

 

4016番迄はレジスターマーク(R)が付かないものがオリジナル、4015はセカンド、溝無しの4016はサード・プレス。

 

BENNY GOLSONが抜けたため再登場となったMOBLEY、大人しそうな性格から、お世話になったBLAKEYの急な要請を断れなかったのでしょう。しかし「MORNIN’」の大ヒットでMESSENGERSの知名度が飛躍的に増していて、しかもLEE MORGANやBOBBY TIMMONSの手練れとの共演でMOBLEYも身が引き締まったのか、それまでの、のんびりした演奏が見違えるほど鮮やかなものに変わっていきます。

 

この時の経験がMOBLEYに自信を与え、名盤の誉れ高い4000番台の3部作(SOUL STATION、ROLL CALL、WORKOUT)に繋がりました。MESSENGERSのアルバムの中では見落とされがちですが、上掲のCAFÉ BOHEMIAのライブ(1507、1508)を遥かに凌ぐ出来栄えだと思います。ただ、演奏曲が地味過ぎるため2枚聴き通すのは、ちょっとキツイ、VOL.1だけだったら、もっと話題になっていたと思います。裏ジャケの解説でレナード・フェザーが「ステレオ盤が臨場感があって良い」と言及していますが、残念ながら所有盤は2枚ともモノラルです。