ROCKに比べオリジナル盤判定が、なかなか進まないJAZZ。「レコード・コレクターズ」誌には「初盤道」なるコラムがあって、それこそ重箱の隅を楊枝で、ほじくるような細かなチェックをして、主にROCKのオリジナル盤を特定しています。ただ取上げている盤のほとんどが、私の全く興味の外のものばかりなのが残念です。もっとも、それが可能になっているのは、圧倒的な発行枚数とコレクターの年齢にあって、検証可能な枚数が少なく、高齢化の進んでいるJAZZの場合は無理なのも、やむを得ないのかもしれません。

 

 

ダブル・ジャケットの豪華な作りが特長のIMPULSE、ただCOLTRANEにしてもROLLINSにしても、BLUE NOTEやPRESTIGE時代の方が好きだったのでIMPULSEの蒐集は後回し、オリジナル盤判定についても、あまり興味がなく、長い間、オレンジ色のレーベルならオリジナル盤だと思い込んでいて、レーベル面には「艶あり」と「艶なし」があるとか、レーベル下段に「AM-PAR」表示のものが、オリジナルと知ったのは、かなりコレクションが進んでからでした。チェックしてみると「艶なし」や「ABC-PARAMOUNT」表示どころか「ABC」表示のもの(つまりサード・プレス)もありました。まぁ、高額で入手した盤はないし、何が何でもオリジナルでという思いが、特別に強い盤もIMPULSEにはないので大きな溜息をつくようなことはありませんでしたが・・・・・。

 

で、IMPULSEレーベルについて、ちょっと気になることがありますので、盤を特定してチェックしてみます。選んだのは、名盤『JOHN COLTRANE & JOHNNY HARTMAN』(IMPULSE A-40)です。

 

 

白文字で「A PRODUCT OF ABC-PARAMOUNT RECORDS, INC.」がオリジナルと言われていますが・・・。

 

クルーナー(CROONER)としてBING CROSBY、FRANK SINATRA、NAT KING COLEらと歴史に名を残したJOHNNY HARTMAN、その要因は一にも二にも、このCOLTRANEとの共演盤があるからで、これはCOLTRANEにとっても『BALLADS』と並ぶ、2大癒しアルバムになりました。低音で囁くように情感を込めて歌う歌手に、テナーとしては高音を多用しながら、同じく囁くように情感をこめたテナー奏者の共演は、まさに至上の組合せです。語りつくされたアルバムなので内容は、この辺までとして・・・・・オリジナル盤判定について

 

IMPULSEのA1~A32まではオレンジ、艶あり、「AM-PAR」表示で、A33~A100オレンジ、艶あり、「ABC-PARAMOUNT」がオリジナル盤と言われています。所有盤も、これに該当するのでオリジナル盤だと思います。

 

ところが、このLPから、カットされたJUKE-BOX用EP(33回転)は「ABC-PARAMOUNT」ではなく、「AM-PAR」表示なのです。

 

ジュークボックス用EP盤・STEREO、タイトルストリップとミニジャケ写真が付属

拡大写真でも見づらいですが、白文字で「A PRODUCT OF AM-PAR RECORD CORP」の記載があります。VAN GELDER刻印はなく、なんと「BELL SOUND」刻印が!

 

さらに7インチシングルにも「AM-PAR」表示があります。しかも「FROM IMPULSE ALBUM A-40」と表示され、アルバムからシングル・カットされたことが明確に記載されています。

 

こちらにも「A PRODUCT OF AM-PAR RECORD CORP」の記載が。VAN GELDER刻印あり、B面は「LUSH LIFE」。

 

前記の如くアルバムのAM-PAR」表示はA-32 (COLTRANEのBALLADS)までと言われていますが、どうなのでしょう?私自身は、『BALLADS』の「AM-PAR」表示は見たことありませんし、上掲のEP盤、シングル盤からA-40( & JOHNNY HARTMAN)に「AM-PAR」表示があっても、おかしくないと推測されます。

 

VAN GELDER刻印あり。「AM-PAR」表示も「ABC-PARAMOUNT」表示もありません。

 

それともう一つ、同じシングルの白レーベル、WHITE-LABEL-PROMOというタームがあるくらい白=プロモと認識していましたが、これにはPROMO表示は、ありません。それどころか上掲のオレンジの通常レーベルにPROMOTIONAL COPY、 NOT FOR SALEの表示、IMPULSEレーベルにも解明すべきことは、まだまだ多いようです。