「ジャズ批評」の最新号はWEST COAST JAZZ特集です。同じ特集が丁度30年前(1989年)に組まれていて手元にあります。「JAZZ批評」自体も随分と薄っぺらになりましたが、最近は「今の時代、これはこれで良いのかも」と妙に納得しています。

 

左が最新の211号、右は30年前の66号

 

さて特集として「ウェスト・コースト・ジャズの名盤100」が選出されています。私がオリジナル盤の蒐集を本格化して最初のターゲットが、PACIFIC JAZZの1200番台だったこともあり、ウェスト・コースト系は結構な枚数蒐集しました。ただ3年半前に約半数までレコードを絞った際、PACIFIC、 CONTEMPORARYの多くは処分の対象となりました。で残っているのは愛聴盤です。そんな中でもBEST 5に挙げられるのは・・・・。

 

ウェスト・コースト・ジャズの100選に何故、これが入っていないのか理由がわかりません。モノラル盤も所有していますが、モノラル好きの私でも、これはステレオ盤を選択します。ステレオ盤を初めて聴いた時にスタジオの中を動き回る(ちょっと大袈裟?)SONNY ROLLINSのテナーサックスを確認できた時は感激しました。

 

 

SONNY ROLLINSを2枚選出するのは、ちょっと気が引けますが、これも結構、ハマったアルバム。PRESTIGE時代に比べるとやや粗削りの感はありますが、それがまた魅力で・・・・。好き嫌いが極端に分かれるアルバムかと思いますが、良く歌うROLLINSは健在。モノラルも所有していますが、これもステレオ盤の方が良く鳴っています。

 

 

「おいおい、そっちじゃないだろう」と思わず声が出そうになりました。100選では『A GASSER!』を選択されています。確かにしっとりとBLUESを歌うANNIE ROSSも悪くはありませんが、彼女は有名な「TWISTED」や、このアルバムの「I FEEL PRETTY」のようなアップテンポの曲にこそ本領を発揮します。MULLIGANやCHET BAKER、ART FARMERらのバック陣も抜群。

 

 

WES を含むMONTGOMERY兄弟のデビュー・アルバム(PJ-1240)は、当時わずか19歳のFREDDIE HUBBARDの初レコーディングという大きな魅力も含んでいますが、BUDDY MONTGOMERY(VIBES)の印象が強く、のちのMASTER SOUNDSの音を分厚くしたような感じ。肝心のWESのソロも僅かで、とても名盤と言えるようなものではありません。実はアルバム未収録のシングル「FINGER PICKIN’」にこそWESの真髄が・・・・。タイトルどおり驚異の「指弾き」が聴けます。(画像は7インチシングルを拡大してあります)

 

 

100選ではなく何故か「珍盤」のコーナーに入れられていますが、これこそウェスト・コーストを代表する典雅なレコード。音とジャケットが見事にマッチしていて、小春日和に、ついウトウトしてしまうような、そんな精神安定剤的なレコード。

 

 

CHET BAKERの『SINGS』もART PEPPERの『MEETS THE RHYTHM SECTION』も入っていないじゃないかと、お叱りを受けそうですが、個人的な5枚につき悪しからず。