ROCK大好き少年は、上京してJAZZの洗礼を受けます。ただ、いきなりJAZZ・オンリーとなったわけではなく、ROCKもJAZZも併行して聴いていて、徐々にJAZZ一辺倒になっていきました。そんな過程で、最も魅力的に思えたのがJAZZっぽいROCKでした。特にウッド・ベースが入ると、途端にJAZZっぽくなるため、いろいろと物色しましたが、1~2曲ウッド・ベースを使用しているアルバムは多いものの、全編で使用し、なおかつ単純なリズム・キーパーの枠を超えて活躍しているアルバムは意外なほど少なかったと思います。ちょうどJAZZにも電化の嵐が押し寄せエレキ・ベースを使用するミュージシャンが増え、ウッドでもアタッチ・メントを取り付けた「嫌な音」が蔓延し始めていた時期です。

 

①    VAN MORRISON 『ASTRAL WEEKS』

RICHARD DAVIS(BASS)やMJQのCONNIE KAY(DRUMS)といった有名ジャズメンがバックを固めていて、特に全編で活躍するRICHARD DAVISのウッド・ベースが効果的。ヴァイブラホンや控えめなストリングスの使用も壺を抑えていて、とても若干23歳とは思えないほど成熟した大人の音楽です。「ソウルフル」と一般には評価される、暑苦しいオジさん声と熟練ジャズメンが醸し出す爽やかなサウンドの対比も絶妙です。次作『MOON DANCE』がヒットしたため、以後その路線を歩むことになりますが、私は『ASTRAL WEEKS』の雰囲気が一番好きです。

オリジナルは「W7」と呼ばれ商標が異なります。上掲はセカンド・レーベル

 

②    PENTANGLE「SAME」

フォーク・ロック界でウッド・ベースと言えば、この人の右に出るもの無し、と言うよりほとんど唯一無二の存在のDANNY THOMPSON。この人のおかげで数多くの名盤が生まれました。個人的には「参加しているアルバムは全て蒐集対象」と言い切れるほど大好きです。

 

MINGUSの影響が大なのは、本人へのインタビューやPENTANGLEのセカンド・アルバムで「HAITIAN FIGHT SONG」を取上げていることからも明らかで、時折リード・ベース?と思えるほど強靭な指弾きで、主役のギターを喰ってしまうことも度々。推薦盤としては、拙ブログで最近取上げたDAVY GRAHAMの『LARGE AS LIFE~』『HAT』やJOHN MARTYN、INCREDIBLE STRING BANDの諸作等、枚挙に暇がありませんが、代表作となればオリジナルメンバーとしてフォーク・ロック界に大きな足跡を残したPENTANGLEのファースト・アルバムを外すわけには、いかないでしょう。

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