JAZZは、とても身近な音楽になりました。居酒屋は、もちろん定食屋、日本蕎麦店でもBGMとしても使われていますし、JAZZを演奏するセミプロのような方も随分と増え、広く浅く裾野は、何十倍にも広がっているように思います。

 

でも本当にJAZZ界が元気だったのは、1980年代頃だったのではないでしょうか。当時、JAZZの新録には目ぼしいものは殆どありませんでしたが、旧譜を発売する国内レコード業界は活況を呈していて、なかでも世界にも誇れたのがキングの「世界初登場シリーズ」でした。マイケル・カスクーナ監修によるBLUENOTEのお蔵入りセッションが本場アメリカを差し置いて日本で先行発売されたのです。このお蔵入りセッション、以前にも拙ブログで取上げていますが

 

https://ameblo.jp/noriten226/entry-12478061812.html?frm=theme

 

とても「お蔵入り」とは思えない作品ばかり。丁度、巨人の2軍の選手ようで他球団ならレギュラーになれる実力がありながら、上(1軍)の枠がいっぱいで、くすぶり続けるのと同じで、他レーベルならリアルタイムで商品化されたと思えるレベルの作品です。

 

今回はGRANT GREEN=SONNY CLARKの未発表セッションを取上げます。このセッションは、のちにMOSAICレーベルでBOXセット(LP5枚組)にして出された膨大なもので、日本で「世界初登場」として出された3枚は、別テイクやIKE QUEBECK(テナーサックス)が入ったものを除いたセッションでした。

 

SONNY CLARKは、既に往年の輝きは失いかけていましたが、GRANT GREENは正に脂がのっていた時期、選曲もスタンダード中心で心が和みます。どれも基本的に原曲のメロディは崩さず、流れるように快調な GREEN、一部リズム隊が替わっていますが、静粛な演奏に徹していますので、あとは聴く側の曲の好みが左右します。私は、いつもに比べれば大人しいもののGREENを煽って刺激を生んでいるART BLAKEYの入ったセッション『ナイジェリア』が好きです。

 

米本国でも日本盤のジャケットが人気だったようで、近年日本盤のジャケットの図柄を使用して再発されたことは大いに自慢できることだと思います。

 

さて敢えて「お蔵入り」した理由を探すと・・・・やっぱりアルバム1枚全部を聴くと若干刺激に乏しいというか・・・録音されたのが1961年暮れから翌1962年にかけて、もう普通のハードバップでは売れなくなってきた時期で・・・とてもMOSAICレーベルの5枚を聴き通す自信はありません。素敵な日本盤のジャケットを眺めながら、またジャズ喫茶よろしくプレイヤーの横に立てかけて片面を聴くのが丁度良さそうです。