25 YEARS OF PRESTIGE

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*25YEARS OF PRESTIGE(東芝EMI LPJ-67005~6)、オリジナルはPRESTIGE24046

 

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*SLIDING EASY(UNITED-ARTISTS UAL 4041)赤レーベル、両溝

 



日本経済だけでなく中古ジャズ・レコードの世界でも、二極化が進んでいます。ブルーノート1500番台の人気盤で状態の良いオリジナル盤は6桁があたり前になっていますし、個人的には全く興味のない欧州系の一部のレコードは更に高価です。それに引き換え再発盤や国内盤、それも人気のないものとなると、ほとんどMINT状態でも何百円という値段にはさすがに驚かされます。特にオリジナルに拘らないなら、こんな安く楽しめる趣味は、他にないかも知れませんね。

さて、今回取上げたのはプレスティジ設立25周年(1949-1974)を記念して1974年に出された2枚組み。いつもエサ箱、それも端っこに売れずに残っていて、私も長年見向きもしなかったレコードです。「25」という数字が印象的なジャケですから、長年レコード屋に通っている方なら何度かは見かけたことがあろうかと思います。でもこういう盤は、いざ捜そうとすると意外に見つからないもの、所謂廃盤店には、まず絶対ないし、昔はLPを大量に置いてあった「普通の中古レコード屋さん」でも、今はCDに席捲されてレコード自体激減しているために、見つけるのは難しいと思います。

このレコードを探すようになった理由は、プレスティッジ25年の歩みを代表的なアーティストの曲を通して、振返るような構成の単なるベスト・アルバムではなく、数多くの別テイクや未発表曲が含まれているからです。でも、この手のものは、他のレーベルにも結構あり、特に珍しくはありません。血眼(大袈裟!)になって探していたのは「どうしても聴きたい曲」が含まれていたからに相違ありません。その曲とは「A BIT OF HEAVEN」。名盤の誉れ高いUAの『SLIDING EASY』の冒頭を飾るCURTIS FULLERの傑作で良い曲ばかりの、あの盤の中でも個人的に最も愛聴している曲です。その「A BIT OF~」がGOLSON=FULLERの『GONE WITH GOLSON』  
でも録音されアウト・テイクとなったものが、この「25 YEARS~」に含まれていることが判ってからは、ゴルソン入りバージョンをなんとしても聴きたいものだと思い続けていたのです。そして漸く見つけました。しかもなんと630円!嬉しくて検盤もせずに購入、家であけてみたらナント国内盤(東芝EMI)でした。落胆するより、国内盤が出ていたこと自体にビックリ。ライナー・ノーツの日付は1974-12-20となっており、本国とほぼ同時期に発売されたようです。オリジナルに越したことはありませんが、この国内盤で十分です。

さて、肝心の「A BIT OF~」ですが『SLIDING EASY』ではTP(LEE MORGAN)も入った三管で演奏は、HANK MOBLEYに任せたもののゴルソンもアレンジを担当していたため、部厚いハーモニーが聴けますが、元祖ゴルソン・ハーモニーとは、やはりFULLER=GOLSONによるものでしょうし、テーマの後のゴルソンのソロもいつになく軽快で実に素晴らしい。では何故、オリジナル・アルバムから外されたのでしょうか?

 

『SLIDING EASY』が1959年3月9日の録音に対し『GONE WITH GOLSON』は同年の6月20日と近いために、同じような印象を与えるのを避け、敢えて外したとしか考えられません。演奏になんの問題もない上に『GONE WITH ~』のB面は、かなり地味な感じがするのでPOPな「A BIT OF~」を入れた方が、アルバム全体の印象からしても良かったように思いますもの。

 

 

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*BOSS OF THE SOUL-STREAM TROMBONE(WARWICK W2038)両溝、BEIISOUND刻印



ところで、どこかのHPでFULLERの『BOSS OF SOUL-STREAM TROMBONE』の最終曲「MR.L」が「A BIT OF HEAVEN」に非常に良く似ていて原型になった曲ではないか?というコメントを見たことがありますが、確かに作者が別人なら、もしかしたら盗作騒ぎになるかな?と思われる部分もあります。実に良く聴いてらっしゃるなぁと思いますが『BOSS OF~』は1960年12月とかなり後の録音、原型ということはありませんね。曲としての完成度も「A BIT OF~」の方がずっと高いと思いますし・・・。(FULLER名義のSAVOYの『IMAGINATION』(MG12144)の最後の曲「LIDO ROAD」はこの「MR.L」と同じ曲です。ということで原型ではありません。4月15日:追記)

最後に他の聴き所などをちょっと・・。入手困難なEPのみで発売された、FATS NAVARRO=DON LANPHEREの「WAILING WALL」やSP音源のKING PLEASUREの「WHAT CAN I SAY、DEAR」。RED GARLAND、GENE AMMONS、LITTLE=DOLPHYらの未発表曲や別テイク満載でまさに"グッド・オムニバス”です。

*GOLSON=FULLERによる「A BIT OF~」はCD化された『GONE WITH GOLSON』におまけ曲として入っていますので、レコードに拘らないなら簡単に入手できます。