JAZZ CONFERENCE ABROAD / CURTIS FULLER & THE JAZZ AMBASSADORS
RECORDED LIVE AT A SWISS CONCERT (SMASH MGS 27034)

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* JAZZ COFERENCE ABROAD (SMASH MGS 27034)、赤レーベル、両溝

 


MERCURYの傍系レーベル、SMASHの逸品。SMASHはJAZZ専門レーベルではない(あとはBILLY MITCHELLくらい?)らしくSJ誌の別冊「ジャズ・レコード・マニア」(副題:世界のマイナーレーベルのすべて)にも載っておりません。内容はクインシー・ジョーンズ楽団からの親分抜きピック・アップ・メンバーによるライブ・セッション。この手のものは「DIZZY ATMOSPHERE」(ガレスビー楽団)、デュクレテ・トムソンのZOOT(マリガン6)、「IN CHICAGO」(CANNONBALL:マイルス6)「OVER SEAS」(フラナガン:J.J.JOHNSON5)あたりが、スラスラ浮かんで来ますし傑出した作品も多いようです。理由は親分の強力なリーダーシップによりグループとしての統制は取れているものの個々のメンバーとしてはソロ・スペースも限られて、鬱憤がたまっていたためボス抜きセッションでは、伸々とプレーができ好結果につながったのだと思われます。

以下は本作のメンバーと曲目です。(当ブログでは曲目やメンバーの記載は原則しないのですが比較的珍しい盤であることに加え紹介しておかなければならない理由がありまして・・・)

CURTIS FULLER (LDR)、 SAHIB SHIHAB (FL,BARI)、 PHIL WOODS (AS)、 ERIC DIXSON (TS)、 BENNY BAILEY、 FREDDIE HUBBRD (TP)、 CURTIS FULLER、 ÅKE PERSSON (TB)、 PATTI BOWN (P)、 BUDDY CATLETTE (B)、 STU MARTIN (DS)

A面 1 BILLIE'S BOUNCE - 07:10
    2 BLUE‘N BOOGIE - 10:05
B面 1 STOLEN MOMENTS-8:30
   2 SCRAPPLE FROM THE APPLE-10:00

QUINCY以外で参加しなかったメンバーはロルフ・エリクソン(TP)、メルバ・リストン(TB)、バド・ジョンソン(TS)、ジュリアン・ワトキンス(FRH)くらいで主力メンバーはほとんど参加しています。

ここでCURTIS FULLER DISCOGRAPHY  http://www.jazzdiscography.com/Artists/Fuller/cf-disc.htm 
を見てみると、このセッションはスイス・チューリッヒで1961年3月1日に行われたことになっておりますが記載されているのは3曲だけでB面1曲目の「STOLEN MOMENTS」が抜けているのです。フレディー・ハバードの炸裂するロング・ソロが聴ける白眉の演奏がどうして?それと同曲がテーマなしでいきなりハバードのソロから始まること、素晴らしい演奏なのに途中でフェイド・アウトしてしまうことにも疑問に思っていたのですが最近購入したあるレコード(国内盤)にその答えがありました。

 

 

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* THE GREAT WIDE WORLD OF QUINCY JONES LIVE ! (MERCURY 195 J-32 国内盤:日本盤のみ?)



その盤とは「THE GREAT WIDE WORLD OF QUINCY JONES LIVE!」そうです以前bassclefさんもご自身の素敵なブログ「夢見るレコード」の「ジャズ雑感第12回目」
http://bassclef.air-nifty.com/monk/2006/01/post_804e.html 
の中で取上げられておりましたが、テープが発見され1984年に初めて日本のみで陽の目をみたこの時期のヨーロッパ・ツアーのライブ盤です。素晴らしい発掘ですが残念なことに、この盤には問題が2つあります。1つはハイライトの13分に及ぶ「STOLEN MOMENTS」のハバードのソロ部分にノイズが入っていること、特にテープが伸びてしまっていることが解ってしまう出だしの部分はかなり気になります。もう1つはステレオの定位が悪くヘッドフォンで聴いていると気持ち悪くなることです。後者についてはモノ・カートリッジを使えば解消されますが・・・・・。

で、その延々13分におよぶ「STOLEN MOMENTS」ですが、なんとハバードのソロが本盤と全く同じなのです。つまり本盤の「STOLEN~」は本来13分の曲からメンバー全員による冒頭のテーマ部分や終わりの部分をカットして8分30秒に仕立てたものなのです。何故こんなことをしたのか?真意はわかりませんが、契約の問題でクインシー楽団のものは出せないが、歴史的名演と言える「STOLEN MOMENTS」のハバードのソロは何としても後世に残したいと考え、敢えて楽団としての演奏と判ってしまう部分には、鋏を入れたと好意的に考えております。実際それくらい素晴らしい演奏(ハバードの後を受けるERIC DIXSONも含めて)だと思います。

「THE GREAT WIDE~LIVE!」が気に入られた方、是非本盤もお求めください。こんな食指の動かないジャケなので、意外に見逃されているのではないでしょうか?「~LIVE !」も発掘ものとしてはかなり良い音がしていますが、本盤では更に迫力ある音で楽しめます。もちろん「~LIVE !」では気になったテープ・ヒスなどありませんし・・・。「STOLEN MOMENTS」以外の曲もいずれも好内容、「BLUE‘N BOOGIE」でもハバードは炸裂しています。

*暇にまかせて、古いジャズ批評(58号)の連載「最後の珍盤を求めて」を見ていたら「THE GREAT WIDE~LIVE!」の監修された児山紀芳氏が、ゲストで出ていて「STOLEN MOMENTS」の指摘がありました。なんだ当初から判っていたのかぁ、ガッカリです(笑)。だったら「THE GERAT WIDE~LIVE!」のライナーで、でも指摘してくれていればいいのに(笑)。(3月21日追記)