COLLECTOR'S ITEMS / MILES DAVIS (PRESTIGE LP 7044)

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446W.NYC.レモンイエロー、両溝、手書きRVG


前回マイルスの「クリスマス・セッション」を取上げましたので、ついでに一番好きなマイルスのLPを紹介します。一般的にはアコースティック・マイルスで好きなレコードとして選ばれるのは『KIND OF BLUE』『SOMEDAY MY PRINCE WILL COME』『RELAXIN'』あたりではないかと思われますが、私はこのレコードが好きです。

『COLLECTOR'S ITEM』という言葉から連想するものは・・・「没になったテイク」とか「大物の処女録音だけどホーン・セクションの一部で全くソロは取っていない」、「本業は○○だけど唄も歌ってみました」のような余程そのアーティストが好きでなければ手を出さないもので、それとて殆ど一二度聴いただけでレコード棚の肥しとなっている・・・というようなことではないでしょうか。

そんな訳でタイトルで損をしている本盤ですが、B面(1956年3月録音)のマイルスの出来は素晴らしく取分けブルーベックの「IN YOUR OWN SWEET WAY」はコルトレーンとのマラソン・セッションのものより数段良く繊細なミュートは、しとやかなアート・テイラーのブラシと可憐なフラナガンのピアノをバックに一際輝いています。

A面にはチャーリー・パーカーが変名でしかもテナーでロリンズと一緒に参加をしていることも『COLLECTOR'S ITEM』の命名の一因となっていると思いますが、全盛期のパーカーをイメージしなければ、なかなか素晴らしく「THE SERPENT'S TOOTH」、「ROUND ABOUT MIDNIGHT」では十分に聴かせてくれます。

さて本作を最初に購入した時のお目当ては、もちろん両面に参加しているロリンズの存在でした。前にもちょっと触れましたがロリンズは自分がリーダーでない時はサイドマンに徹して決して主役を食うようなアドリブ・フレーズは出しません。よく言えば気配りができる、悪く言えば手を抜いていると言えます。凡百のテナーに比べれば遥かに素晴らしいのですが、B面は全盛期の、それもあの「サキ・コロ」のたった3ヶ月前の録音、もっと良いフレーズが出てきてもいいはずです。ロリンズのソロだけに関して言えばA面の方が良いと思います。そう考えるとロリンズ・ファンの私にとってはやっぱり本作は「コレクターズ・アイテム」ですかね?(笑)

446W.NYC.レモンイエロー、両溝、手書きRVG