オリジナル盤をコレクションし始めた頃にBLUE NOTEで超高額だったのはSONNY CLARKの『COOL STRUTTIN’』(BLUE NOTE 1588)を筆頭にJUTTA HIPPの3枚(同1515、1516、1530)、LEE MORGANの『VOL3』(同1557)『CANDY』(同1590)、KENNY DORHAMの『AT CAFÉ BOHEMIA』(同1524)あたりでした。もちろん『HAMK MOBLEY』(同1568)も十分高価でしたが上掲盤ほどではなかったと記憶しています。
時代が変わって近年は『HANK MOBLEY』とJUTTA HIPPの『WITH ZOOT SIMS』(同1530)、KENNY DORHAMの『AFRO-CUBAN』(同1535)に『BLUE TRAIN』(同1577)の1500番台に加えて4000番台からHORACE PARLANの『US THREE』(同4037)、FREDDIE HUBBARDの『OPEN SESAME』(同4040)、TINA BROOKSの『TRUE BLUE』(同4041)あたりが超高額盤として認識されていると思います。
とにかく昔からBLUE NOTEの1500番台のオリジナル盤は高かった。それでも上掲の超高額盤を除けば、高いなぁと思いながらも、そのうち何とかという気になりましたが、今は、もう投機筋の方が蒐集しているのでは?と疑いたくなるような全く手の届かない呆れた価格になっています。
これらBLUE NOTEの深溝(DEEP GROOVE)のオリジナル盤と再発の"溝なし盤”では昔はビックリするくらい(オリジナル盤の五分の一以下)価格差がありました。近年の状況は分かりませんが、当時(30年前)は溝なし盤なら、ちょっと無理すれば手が届きました。
手元にある1500番台の”溝なし盤”を紹介します。これらも人気作で深溝のオリジナル盤は当時から高額でした。
LEE MORGAN SEXTET(BLUE NOTE 1541)
オリジナル盤との違いは①深溝(DEEP GROOVE)が無いこと。②ジャケットが額縁仕様で無いこと。③PLASTYLITE社製を示す”耳(P)マーク”が無いこと、④盤はFLATではなくGROOVE GUARDがあります。⑤オリジナル盤が手元にないので比較できませんが、近隣の番号の『HANK MOBLEY SEXTET』(オリジナル盤、同 1540)が209gあるのに対して本盤は薄く軽量(実測160g)、50gの差は手にした感触だと随分と違います。近年の高級再発盤のほとんどが180gの重量盤仕様なのを鑑みても重い盤の方が音が良いのは通説です。手書きのRVG刻印はありますが、プレス技術に優れたPLASTYLITE社製でない上に、盤が軽量であれば音的に若干劣るのは止むを得ないでしょう。レーベル右下に商標登録マーク🄬がないため最初に🄬表示が確認された4013番『NEW SOIL / JACKIE McLEAN』が発売された1959年7月以前の再発だと推測されます。内容は演奏には参加していないもののBENNY GOLSONが作曲と編曲に携わっており、有名な「WHISPER NOT」が入っていることで人気のアルバム。MORGANの古くからの友人、無名のアルト奏者KENNY ROGERSの鮮烈なソロが聴ける数少ない作品です。
SONNY CLARK TRIO(BLUE NOTE 1579)
この番号になるとオリジナル盤でも機械打ちRVGで、ジャケも額縁ではありません。掲載盤とオリジナル盤との違いは深溝(DEEP GROOVE)が無いことぐらい。DEAD- WAXに耳マークはないものの「9M」表示があり・・・"9M”はPLASTYLITE社のBLUE NOTE識別番号で・・・PLASTYLITE社の製造なのかもしれません?但し盤は上掲のLEE MORGAN盤より更に軽く(142g)、近隣の番号の『THE COOKER / LEE MORGAN』(オリジナル盤、同1578、166g)と比べても軽く手にすれば感触で分かります。内容はピアノの録音が下手、苦手と評価されるRVGですがHORACE SILVERとSONNY CLARKに関しては太い音で彼らの持ち味を見事に引き出しています。本盤にも商標登録マーク🄬がないため1959年7月以前の再発でしょう。
CURTIS FULLER VOL.3 (BLUE NOTE 1583)
BLUE NOTEオリジナル盤研究の第一人者、FREDERICK COHENの『ブルーノート・レコード ・オリジナル プレッシング ガイド』によると、オリジナル盤は1958年5月の発売予定でしたが1960年12月まで延期されたようです。理由は、たぶん前作の『BONE &BARI / CURTIS FULLER VOL.2』(BLUE NOTE 1572)の売上げが芳しくなかったためだと思います。ちなみに1960年12月は4040番台が発売されていた時期です。オリジナル盤との違いは①深溝(DEEP GROOVE)が無いこと、②耳マークが無いこと。盤の重量は141gと上掲のSONNY CLARKとほぼ同じ、やはり軽量です。内容はバリトンとの共演で重苦しく、一般受けが良くなかった『VOL.2』に比べ、ラテンタッチの曲を入れ相棒にART FARMERを選択したことも功を奏し、明るく随分と聴き易い内容に変化しています。発売を延期する必要はなかった思います。なお本盤には商標登録🄬マークが右下にあり、1966年の再発のようです。
前記の如く、近年BLUE NOTEのオリジナル盤はとても手の届く価格ではなく、また”何が何でもオリジナル”の盤ではないので、若干音質が劣っていたとしても”これらの”溝なし盤”で十分満足しています。
<PLASTYLITE社について>
耳マーク(Pマーク)でお馴染みのPLASTYLITE社、『THE MUSINGS OF MILES』(PRESTIGE 7007)のジャケ裏には“CUSTOM MADE PRESSING BY PLASTYLITE”と記載されており、当時PLASTYLITE社への依頼は特注であったことが分かります。
BLUE NOTEのオリジナル盤にもPLASTYLITE社製を示す耳(P)マークがあり、セカンドプレス以降になると無くなる傾向なのは、PLASTYLITE社製が品質(プレス技術、盤の材質)がワンランク上で、受注価格も他工場より高かったからだと思われます。







