BLUE NOTEの10インチ(LP)が、ほぼ録音順に並んでいるのに対してPRESTIGEの10インチ(LP)は入り組んでいて、これだけでもレーベルの性格が良く表れています。

 

12インチになってからのPRESTIGEの録音・マスタリングは、ほぼRVGが担当していますが、10インチは全114枚(101~214)の内、録音を手掛けたものが31枚です。しかもRVGが録音技師として登場するのは170番からで、それまでの69枚(101~169)には関わっておらず、またPRESTIGEの初期は朝鮮戦争によるプラスチック(ペレット)不足が盤の材質の悪化を招き、音質に悪影響を与えたため10インチLPの不人気の主要因になりました。

 

RVGが録音を担当する頃には盤質の問題も解決されていて「音の良さ」を求めるならBLUE NOTEと同様にRVGが録音からマスタリング(カッティング)まで担当した盤をお薦めします、

 

*なお抜けている番号のレコードはRVG録音ではないため掲載を割愛します。

 

 

 

170 MODERN JAZZ QUARTET VOL.2・・・未蒐集

最初から未蒐集で恐縮しますが、入手困難なPRESTIGEのオリジナル10インチの中では最も入手しやすい一枚。ただ12インチLPも所有しているしMJQだし・・蒐集意欲が湧かず結局未入手、今後見つけてもパス。DISCOGSの資料によると録音もカッティングもRVGです

 

 

177  ART FARMER QUINTET・・・・RVGは録音のみでマスタリングは別。

 

DEAD-WAXに刻印は無くRVGは録音のみ。そのため、あのRVG特有の音圧の高さは感じられません。SONNY ROLLINSの参加は嬉しいけれど、ほとんど存在感はありません。1954年1月20日、HACKENSACKのVAN GELDERスタジオでの録音。『EARLY ART』(NEW JAZZ 8258)で12インチ化されました。

 

 

180 THELONIOUS MONK QUINTET

 

DEAD-WAXに手書きのRVG刻印が確認でき、録音からマスタリング(カッティング)まで担当、RVG特有の音圧の高さ(いわゆる轟音)は圧巻です。フロントはRAY COPELANDとFRANK FOSTER。RVGが金管楽器、中でもテナーサックスの録音に秀でていたことは10インチ時代の盤でも確認できます。MONKはPRESTIGEに4枚の10インチLPの録音がありますが、RVG録音は本盤と189番の2枚だけ。『THELONIOUS MONK QUINTETS』(PRESTIGE 7053)で12インチ化。なお、この番号からレーベル面が青銀→エンジ銀に変わります。

*これ以降、掲載された盤は全てRVGの録音・マスタリング(DEAD-WAXに手書きRVG刻印)です。

 

 

181 ART FARMER QUINTET

 

のちに12インチLP化され人気盤『WHEN FARMER MET GRYCE』(PRESTIGE 7085)となるオリジナルの10インチ盤2枚の片割れ。RVG録音はRIAAカーブだとベースがビンビン響き、軽減されるFFRRカーブ説を唱える方の気持ちも分かるような・・・。でも、それだと肝心の管楽器の迫力がなくなります。いずれにせよ、ハードバップを代表する名盤です。

 

 

182 MILES DAVIS ALL STAR SEXTET

 

のちに『WALKIN’』のタイトルで12インチLP化された有名盤のオリジナル10インチ、 「WAKIN‘」「BLUE’N’BOOGIE」収録。信号機のジャケットの12インチLPの印象が強すぎます。所有盤はタイトル他が文字ですが文字も存在、どちらが先なのでしょうか?

 

 

183 MILT JACKSON QUINTET

 

MJQを離れたMILT JACKSON、JOHN LEWISの替りにHORACE SILVERを入れHENRY BOOZIERなるトランぺッターを加えたクインテット構成。アーシーでMJQとはまるで雰囲気が違い、MJQのリーダーはMILT JACKSONになっていますが音楽監督はJOHN LEWISであることが良く分かる一枚。『MJQ / THE MODERN JAZZ QUARTET-THE MILT JACKSON QUINTET』(PRESTIGE 7059)で12インチ化。

 

 

184 PLAYS FOR D.J‘S / BILLY TAYLOR TRIO

 

PRESTIGE最初期のドル箱スター、BILLY TAYLOR。BLUE NOTEのJIMMY SMITHやTHREE SOUNDSも同様ですが、一般受けして数多くの作品があるアーティストは時代の変遷とともに飽きられてしまうのか、今となっては人気もイマイチ。BILLY TAYLORはPRESTIGEの10インチだけで7枚ものリーダー作あり当時の人気が伺い知れます。

これはタイトルどおり全国のDIISK JOCKEYさんたちが自身の番組でテーマ曲として使っていた曲を集めBILLY TAYLORが演奏した作品。後に『CROSS SECTION』(PRESTIGE 7071)として12インチ化されました。

 

 

185 MILES DAVIS QUINTET

 

一部曲の入れ替え(I’LL REMEMBER APRIL→LOVE ME OR LEAVE ME)があるものの182と併せて信号機のジャケで有名な『WALKIN’』として後年12インチ化。オープンでバリバリと吹いていた182と対照的に、こちらは“卵の殻の上を歩く”と形容された繊細なミュートが楽しめます。エポックメイキングなのはオープンで吹いた「WALKIN’」かもしれませんが個人的には圧倒的に、こちらのミュートの方が好き。マイルスはミュートに尽きます。B面のDEAD-WAXにはRVG刻印がありませんが、同一セッションで音質・音圧にも変化はなく記入洩れだと思います。

 

 

186  SONNY ROLLINS QUINTET FEATURING KENNY DORHAM

 

SONNY ROLLINSのテナーはRVGの録音・マスタリングだと最高に良く鳴ります。このセッションはROLLINSとしてはハードなセッションで、小粋なスタンダードを“唄いあげる”イメージとはかなり異なっています。『MOVING OUT』(PRESTIGE 7058)で12インチ化されますが、ゴリゴリとしたROLLINSの真骨頂はオリジナルの10インチでしか聴けません。12インチLPはRVGがリマスタリングしていますが、ややマイルドな音になっています。

 

 

187 MILES DAVIS WITH SONNY ROLLINS

 

MILESとROLLINSの有名な『AIREGIN』セッション。後年『BAGS GROOVE』(PRESTIGE 7109)として12インチ化されました。12インチには時間調整のため「BUT NOT FOR ME」の別テイクも収録されていますが、この世紀の名セッションに別テイクは不要でした。

 

 

188  BILLY TAYLOR TRIO AND CANDIDO・・・未蒐集

 

189 THELONIOUS MONK PLAYS

 

PRESTIGEのMONKやROLLINSの10インチ・セッションは12インチLP化の際に分散され、収録の4曲も『THELONIOUS MONK TRIO』(PRESTIGE 7027)と『THELONIOUS MONK WITH SONNY ROLLINS』(PRESTIGE 7075)に2曲づつ振り分けられました。相性の良いART BLAKEY、PERCY HEATHとの珠玉のトリオ・セッション、まとめて聴くべき大傑作で分散化は大愚策でした。            

 

以下 次回に続きます。