中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba -891ページ目

小説「楫取素彦物語」第158回

 この時、黙って聞いていた年輩格の者が言った

「議員のとこへ行く時、注意することがあるぞ。相手は偉い先生だ、低姿勢で臨むのだ、教えてもらう、お願いする態度が必要だ。存娼派は、今、追い詰められているから、特にな」

 この男の注意は功を奏した。低姿勢で臨むと、ある県議は、

「お前たちの説は大いに採るところがあるからいずれ議場の問題にして議するであろう」

と言って寛大ところを示した。また、ある県議は、

「貸座敷は実際必要と思うがお前たちの熱心さを見捨てておくことはできない、甚だ少ないが運動費を献ずる」

と言って紙に包んで幾ばくかの金を出した。

 若者たちは、遂に建議書を議会に提出した。そして、それが審議される日が来た。各地の青年会の会員が傍聴した。300人が限度のところ400人近くが参加し、文字通り立錐の余地もなく入り、固唾を呑んで建議書の行方を見守った。建議書は朗読された。さあ、どうなるか。賛否を問う瞬間である。29対17。賛成多数で採択されたのだ。若者たちは喜びのあまり思わず万歳を叫び手を打った。中に入れない人たちは議事堂の前でおでとう、おでとうといって抱き合って喜んだ。青年たちの理想に燃えた協力が見事に結実した瞬間だった。青年たちは、これで全てが決まったかのような喜びようであった。

 

※土日祝日は、中村紀雄著【小説・楫取素彦】を連載しています。

人生意気に感ず「台風10号の警鐘。キャサリン。教員の盗撮と心の崩壊現象」

◇台風10号は、台風の常識を覆すものだった。群馬への直撃は避けられたが、それは、台風の囲む気圧の関係によるものだから、多分に偶然の要素が働いたのだろう。だから、群馬を襲う可能性も十分あったと言わねばならない。やはり群馬は大丈夫だった、と大方の人は安全神話に胡坐をかいている。それがいかに根拠のないことかを、10号は見せつけたのだ。


 昭和22年のキャサリン台風を振り返った。9月14日、関東地方に大風水害をもたらした。特に赤城山を中心に被害が大きかった。私は赤城の奥に開墾で入っており、小学校1年生だった。宮城村鼻毛石の学校までの間、川が二つあった。登校時、濁流は恐いように逆巻いていた。学校は早く終わり、下校時の川は溢れんばかりで私は橋に打ち当たる水しぶきをくぐるように走り抜けた。その日のうちに二つの橋は流されてしまった。


 この台風の被害は、死者592人行方不明107人、床上浸水3万1千戸。正に未曽有の惨状だった。総雨量は前橋で387.4ミリ。この雨が吾妻の方面で降ったら、大きなダムがないから大変ということで、八ツ場ダムの構想が始まった。私は県議の時、八ツ場ダム推進議連の会長だった。台風10号は、何でもありの超異常気象への警鐘である。私たちにとっては、「群馬は大丈夫」という安全神話への警鐘である。


◇連日の余りに多い盗撮事件。しかも教員や警察に多い。もう世間は驚かなくなっている。このことは何を意味するのか。30日、大阪市の中学教諭がプールの更衣室で隠しカメラで女子を盗撮したことが報じられているが、スマホを使ってエスカレーターでスカートの中を撮ったなど、私のケータイに情報が入るのは連日である。その姿を想像すると苦笑してしまうが、リスクを考えたら実行に移さないのが普通だろう。教壇には立てない、家庭は崩壊する、学校では先生一般の信頼は地に落ちてしまった。こういう事をする聖職者は例外なのか、それとも一般的に変化してしまったことの現われか。恐らく、「聖職」という言葉は死語になった。


 超便利な機器が洪水のように押し寄せ、人間の心まで押し流そうとしている。この流れに道徳教育も無力である。永久凍土が溶け出した。人間の心も溶け出したのだ。天の警鐘は高らかに鳴っているが、受け止める心がない。(読者に感謝)





人生意気に感ず「北の副首相銃殺の狂気。東京五輪対策。共謀罪の必要性」

◇北朝鮮は、こともあろうに副首相を処刑し、金正恩の2人の側近を強制労働処分にしたと、31日、韓国メディアは報じた。金勇進副首相については、最高人民会議での姿勢の悪さを理由に秘密警察が取り調べを行い、反党反革命分子との烙印を押され、7月に銃殺されたという。表に現われていない深刻な背景があるに違いないが、それにしても恐怖政治ぶりは異常だ。


 金正恩は政権を得てわずか4年の間に100人近い幹部を処刑あるいは粛清した。最近は国外にいる高級外交官の亡命が跡を絶たない。アメリカは金正恩を予測不可能な独裁者と見ている。世界の民主主義の流れなど全く無視した軍事優先、「不敗の軍事強国」を誇っている。


 父親金正日の元専属料理人藤本健二氏の話がよく伝わってくる。最近訪朝した藤本氏に、金正恩は「米国が無理難題を突き付けるからムカッとしてミサイルを発射している」と話したという。額面通りには受け取れないが、恐怖政治の下で、真の忠臣は考えられないから感情混じりで重大な決断を下すことは十分あり得る。「予測できない」とは、このあたりを指すものだ。最近の側近の処刑、及び外交官の亡命は、国際孤立を深める中でいよいよ追い詰められていることを物語る。「拉致問題」の解決も遠のいてしまった。こういう狂国への対応としても、ロシア、中国、韓国などと安定した協力体制を築き毅然とした忍耐を貫くことが求められる。そして、私たち国民の国を守るという意識が最も重要である。


◇2020年の東京五輪に向けた対策が具体的に動き出した。4年後に、暑さは更に酷くなる。巨大地震も足音が聞こえるようだ。これらは自然現象だから粛々と対策を進めればよい。より心配なのはテロである。「IS」にとって最大の敵はアメリカであるが、日本はその同盟国である。現に「IS」は日本も標的だと宣言している。パリで発生した同時多発テロのようなことが日本で起きたら、それは悪夢である。無防備に近い日本の取り得る対策として重要なのは情報である。


◇世界と連携してテロと対応するために「国際組織犯罪防止条約」の締結が急務となっている。G7で、日本だけが未締結である。批准の条件として共謀罪を設けることが求められているが実現しないのは、人権侵害への危惧が理由である。しかし、テロを未然に防ぐためには要件を厳格にした共謀罪を設け条約に加わり世界と連携しなければならない。9月の臨時国会に注目する。(読者に感謝)