シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六三 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

シベリア強制抑留 望郷の叫び 一六三

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載しています。

 

 強盗的日本帝国主義、極東の憲兵、帝国主義野獣どもといった表現を使ったこの部分は、ソ連人になりきって日本を攻撃しているような印象を受ける。

 さらに進んで、次の文は、収容所生活を夢の楽園のように描いており、あきれ返るというよりはむしろこっけいに感じられる。

 即ち次のようなものである。

「私たちの行くシベリアは、荒涼たる氷雪以外何ものもなく恐るべき“酷使”と“死”が待つと言われていたが、実際は並々ならぬ寛大さと人道主義によって迎えられ、あらゆるサービスが完備し夢のようだった。厳正な八時間労働。十分なカロリー計算のもと一点の汚れのない調理場で日本料理風の料理がつくられ食膳をにぎわす。あたたかい寝具と被服、立派な宿舎が保証されあらゆる日用品と嗜好品が販売され、食事、菓子、飲料をも備えたレストランも開設され、下着もまた、毎週清潔なものと交換され、立派な施設をもった入浴場、選択場が設けられている。医療に至っては日本では夢にも見られないもので、幾多の高価な薬品や医療機械が備えられ完治するまでよく見てもらえる。その他、文化教養を高めるための施設や配慮が行き届き毎週ソビエト映画も楽しむことができる」等々、次々と素晴らしいことを並び立て、「このようなことがいかなる資本主義国の捕虜収容所でありえようか、自分たちの生活は、いかにしても捕虜生活と呼ぶことは出来ない、歓びにみち自由にあふれた生活なのだ」と。

 つづく