人生意気に感ず「紅麹が問う国と行政の役割。地方自治と民主主義。対等が変わる。」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「紅麹が問う国と行政の役割。地方自治と民主主義。対等が変わる。」

◇「紅麹」問題が大きな社会の混乱を起こしている。28日の時点で4人の死者、入院は100人超に。人の命に関わる食品については情報とその提供の速さがいかに重要であるかを痛感する。今この事がひしひしと迫る。小林製薬という一民間企業の手に負える問題ではない。国民の健康と生命は社会全体の問題であり国と行政の最大の課題。小林製薬の対応は遅れ、問題発生から国が報告を受けるまで2ヶ月以上要した。林官房長官は誠に遺憾と繰り返し、武見厚労相は被害の拡大を防ぐため国の直接介入を行った。

 政府には危機感が広がっているが当然である。裏金問題で内閣支持率が過去最低の折りだ。これ程広範囲の食品販売被害は例がないという。健康は誰にとっても最大の課題。毎日食卓に並ぶ食料品と違い、サプリメントは成分が濃縮されている。赤い浄財を一般の人は救い主のように思ったに違いない。今は悪魔の使いのように見える。民間や地方行政に任せられない課題であり、国の強い権限が必要とされる分野である。

◇国と地方自治体の関係が大きく変わろうとしている。私は長いこと県議会にあったが、その間常に地方分権を意識して行動した。地方は国と対等が基本原則なのに地方の非力を痛感した。地方議会の形骸化も重なっていた。

 現在大規模な災害や感染症に絶えず脅かされる時代となった。そして私たちは専制国家の即決即断を羨ましく思い、同時に民主主義の非効率を歯がゆく思う。現在は民主主義の危機である。

 4月、地方自治法改正案の国会審議が始まる。ポイントは重大事態に於いて国が自治体に対応を指示できる点である。「対等」が変わる可能性がある。「地方は民主主義の学校」と言われる。主権者に密着しその実態に根ざしているからだ。非常時の国の介入は重要であるが地方の実情を無視する恐れがある。バランスが重要なのだ。それは、地方の力にかかっているといえる。重大事態を私たちはコロナ禍で痛感した。それを活かさねばならない。巨大災害は足音が聞こえるように迫っている。国と地方が力を合わせる必要は自明の理だ。最大の妨げは政治不信である。キックバックで右往左往し、支持率最低の政権に何を期待できるのか。

◇政治不信ともつながる重要な要素として政権交替の可能性がほとんどゼロに近い政治的閉塞状況がある。野党には力がなく多くの国民は信頼しない。政権を謙虚にさせる必要がある。そのための最大の力は国民の批判力である。(読者に感謝)