人生意気に感ず「天安門を振り返るとぞっとする。反スパイ法の恐怖。大相撲にはまる」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「天安門を振り返るとぞっとする。反スパイ法の恐怖。大相撲にはまる」

◇昨年暮れの天安門広場を思うと背筋が寒くなる。厳冬の日の出前、広大な広場には黒く動く多くの影があった。隊列を組んで動く兵士の姿も。久しぶりに北京訪問の機会を得た時、私は天安門に行きたいと思った。1989年の天安門事件に強い関心を持っていた私には最近の緊迫の国際状況下の天安門に惹かれるものがあった。毎朝日の出に合せて国旗掲揚の儀式があるという情報が背を押した。出国前元外務高官の知人は「スパイ容疑には特に注意を」と言っていたのだ。日中友好交流会議で多くの人と友好交流の雰囲気に浸る中、反スパイ法のことも忘れていた。今思えば会議で発言した内容もチェックされていたのかもしれない。真の友情を築くためには時には耳に痛いことも言わねばという信念があった。「日中友好条約には覇権を求めないとあります。この原点を大切にすべきです」。このような内容であった。天安門は予約制である。その上で飛行機搭乗のような検査があった。その先のボディチェックに引っかかった。両手を上げ足を開かされる。胸のゴワゴワに官憲の手がピタリと止まった。手書きの原稿用紙3枚である。「これは何か。説明して下さい」。改正反スパイ法はスパイ活動に厳しくなっていた。外国人の文書には神経過敏になっていたのだ。同行の黄さんが必死で説明する。原稿は没収され緊迫の時間が過ぎて解放されたが一歩間違えば面倒なことになっていたかも知れない。

 アステラス製薬社員が北京で拘束されてから20日で一年。そのスパイ容疑の内容は依然明らかにされない。司法手続きへの透明性は日本と格段の差である。6年とか12年とかの懲役の判決を受けた人も。多くの若者が中国ビジネスを怖がっている。この傾向は日中友好を進める上で、そしてアジアと世界の平和と安定のため日本の役割を果たす上で憂うべきことだ。

◇ブログの原稿を書き終え、午前2時40分寒気の中を走る。空には満月に近い月。いつもの所で交わす〈すかいらーく〉さんとの会話は大相撲。「尊富士が負けました。大の里も負けたね」食品会社勤務のこの人との縁で相撲文化に接近した。一瞬に全てを賭ける若者には古里があり自分との厳しい闘いがある。熱海富士の愛嬌のある表情からその生い立ちを想像すると楽しい。宇良、翔猿なども同様だ。立ち会い時の姿は侍の真剣勝負が。優勝はどうやら尊富士と大の里に絞られた。大相撲界にも変化の波が。伝統文化を支える彼らの心中はいかに。(読者に感謝)