人生意気に感ず「女性候補誕生の瞬間。天の時を味方にした彼女の今後は。石川県の人々に冬の雪は容赦な | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「女性候補誕生の瞬間。天の時を味方にした彼女の今後は。石川県の人々に冬の雪は容赦な

◇まさかの出来事であった。4日の午後6時過ぎから私は山本事務所に居た。広い選挙事務所には既に市長夫妻の姿があった。市長はイスを並べたりしている。私には幾分不思議にも見えた。何度も経験した緊迫の瞬間が甦る。投票日、結果を待つ候補者はどこかで息を殺して待機しているのが通例なのだ。幾つもの情報が飛び交っていた。「現職やや優位か」と新聞は報じていたが、知り合いの某記者は私に近づいて声を潜めて言った。「非常に接戦で、現職は楽観できませんよ」。また、こんな声も。「出口調査の結果は意外らしいです」。この日の午前、市長から電話があった。「紀雄先生、大変お世話になりました」。実態はどうなのか、何が起こるのか。私は胸の高鳴りを抑えて時の経過を待った。

◇「わっ」。テレビを観る人から声が上がった。午後7時、小川晶氏当選確実の文字が流れたのだ。人々の間に衝撃が走った。「こんなに早く」、「NHKだから間違いない」、様々な声が飛び交った。娘さんを入れた市長家族3人の呆然とした姿を見た。7時半から会見をすることになった。永田事務長が敗戦の声明を出し、次いで市長が立った。「私自身の力不足。私の責任としてこの現実を受入れている」と深く頭を下げた。敗軍の将兵を語らずの思いが滲んでいた。市長は私に近づき言った。「バッジがなくてもバッジがあった時と同じように活躍する紀雄先生と同じように社会の為に尽くします」。

 市長は人々の間を飛び回って「お世話になりました」と言っている。直後の興奮に衝き動かされているかのようだ。3日間が過ぎ、私は静かにこの歴史的出来事を振り返っている。負けても接戦と思ったが大差がついた。地殻変動が起きたかのようだ。未曾有の政治不信の中に姿を現した女性候補。喜びを語る弾けるような笑顔が全てを語る。古来、戦いの勝敗を分けるのは人の和天の時と言われてきた。今回は何と言っても天の時である。酷い社会的政治的状況が爽やかな女性候補に強く味方した。県議時代から思想的にも近い立場の私は彼女といろいろ接点があった。一番の効果は多くの人々の心に期待と希望を吹き込んだことであろう。少子化、大災害、高齢化の時代に求められるのは心の団結である。救国の少女ジャンヌダルクを思い出す。

◇石川県の死者が241人に。認知症、持病を抱え地域を離れがたい人々。空虚な目の人々に冬の雪は容赦がない。極限の場で人間の尊厳を救うものは何か。決して他人事ではない。(読者に感謝)