人生意気に感ず「ナポレオンの敗退を描いた“戦争と平和”を観て。プーチンの選挙のテーマは戦争と平和 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「ナポレオンの敗退を描いた“戦争と平和”を観て。プーチンの選挙のテーマは戦争と平和

◇「戦争と平和」を観て感動した。あらゆる小説中、最も偉大な作品とモームが称するトルストイの名作である。昔観た映画であるが、時を経て世界情勢が変化した中で観ると新しい作品に出会うようである。作品を観る私も変化しているからに違いない。世界情勢の変化といえば、最近のロシアの傍若無人ぶりである。ロシアが嫌いになっていたが、この映画によりロシア観が多少変化したような気がする。

 19世紀前半のナポレオン戦争が舞台。オードリー・ヘプバーン演ずる天真爛漫なナターシャが輝くようだ。ジメジメ暗いと思い込んでいるロシアのイメージが一変する。ナポレオンのロシア侵攻は1812年6月。連戦連勝でモスクワに迫る。ロシアは退却を重ねる。反撃を迫る将軍たちにクトゥーゾフ元師は「今戦えば壊滅する。それは出来ない」と訴える。

 ロシアの人々は家を捨て家財を積んで逃げる。雪の中に立って兵士を励ますナターシャの姿が神々しい。モスクワの市街に立って、立ち尽くすナポレオンの姿に私の目は釘付けになる。「鳥が南へ飛んでいく」、そう呟く彼の目はうつろに見える。本格的な恐ろしい冬将軍の襲来が迫っていたのだ。遂にナポレオン軍の退却が始まる。クトゥーゾフ元師は大地にひれ伏して神に感謝する。激しい反撃戦が始まる。ナターシャは傷ついた兵士を看病する中で愛する人との再会を果たす。逃げる夥しいフランス兵は冬の川に投げ出される。ナポレオンの失脚の始まりを示す光景であった。ヨーロッパを制した英雄も巨大な歯車を前に無力であることを晒した。

 映画では、ヘンリー・フォンダ演ずる侯爵ピエールも登場する。彼は「ナポレオンめ、地獄に堕ちろ」と叫び、モスクワの市街で狙撃しようとするが果たせなかった。ナポレオン軍の退却の光景を見て後の第二次世界大戦でロシアに侵攻したナチスドイツを重ねた。ヒトラーは戦いに勝ちながら冬将軍に勝てず退却しヒトラー失脚と第二次世界大戦でのドイツ敗戦の主因となった。トルストイはナポレオンが巨大な歯車に敗れたと語るが、現在展開されているウクライナとロシアの闘争が大変気にかかる。自由と民主主義の運命がかかっている。「戦争と平和」の物語はトルストイの言葉「人生を愛することは神を愛することである」で終わる。この映画から学ぶことは深く大きい。ロシアの人々にも熱い人間の血が流れているに違いない。目前のロシア大統領選でロシアの民衆はどのように動くであろうか。選挙の大きなテーマは「戦争と平和」である。(読者に感謝)