人生意気に感ず「石川県出身力士の遠藤と大野里。深夜に会う人。首相の被災地入りは遅い」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「石川県出身力士の遠藤と大野里。深夜に会う人。首相の被災地入りは遅い」

◇毎日死者数が増える。心は沈む。14日221人に達した。そのうち災害関連死は13人、安否不明者は26人である。14日、大相撲が始まった。被災者は相撲どころではないに違いないが、それでも地元出身者の活躍には癒され励まされているだろう。石川県出身の人気力士は遠藤と大野里。遠藤はふるさとの家のそばまで津波が寄せたと言われる。相撲巧者の遠藤は惜しくも初日黒星に終わった。「全国からの義援金に感謝します」と述べていた。一方、大野里は未だ10代で、髷も結えない若者だがその風貌は怪力無双といった感じで期待に応えて初白星を得た。会見で記者が「津幡町は大変な状況ですがどんな思いですか」と向けると「はい、ふるさとのために一つ一つ頑張っていきます」と真剣な表情で答えていた。

 私は相撲に関し、関心も浅く知識もなかった。外国人力士ばかりが横綱になることに不満を抱いていたくらいである。一瞬の勝負で奥が深いことに興味を抱いたきっかけは、深夜に決まった場所で会う岩手県出身のFさんのお陰だ。午前2時45分に自宅を出て走るコース上に芳賀金属団地の工場群がある。その一角を私が東に走ると闇の中に握り拳ほどの白い点が現れる。駐車場から工場に向うFさんのマスクだ。ほんのわずかの言葉を交わすのが習慣となった。相撲通で、場所が始まると話題は誰が勝った負けたになる。祝儀袋にはいくら入っているかまで教えられる。人の出会いと縁は不思議なものである。「上毛の“ひろば”見ましたよ」などと言ってくれる。東日本では近い身内が津波にさらわれた。進行中の能登の災害は他人事でないらしく切実な気持ちが伝わってくる。「群馬はいいですね」と言うから「油断はできませんよ。240年前の浅間の大噴火は大変でした。そろそろ目を醒ます頃です」と群馬の火山の歴史を話す。赤城も活火山だと話すと驚いていた。

 今、午前2時半。30分ごとのニュースは孤立地区から避難する人々の姿を伝える。「2週間ぶりに風呂に入れるのが嬉しい」。こう話す老人に吹雪きが舞っている。道をふさぐ黒い巨岩がその先の孤立の人々を物語っている。岸田首相が14日被災地に入った。

「もう少し早く来て欲しかった」、「首相の地震対応は遅い」このような声が聞かれた。珠洲市の中学校でひざをついて話す首相の姿が報じられた。221人が死亡し断水と孤立が続く中、もっと早く駆けつけられなかったのか。これが被災者の正直な切実な思いである。激務の渦中なのは分かる。それにしても2週間は遅い。寝る間を割いて心を届けて欲しかった。(読者に感謝)