人生意気に感ず「地獄のガザと大国の責任。同時進行の二つの戦争と日本の役割」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「地獄のガザと大国の責任。同時進行の二つの戦争と日本の役割」

◇地獄のガザ地区はどうなるのか。電気が尽き、病人に為す術もなく、水もない状態。世界はこれを放置するのか。イスラエルは南部への移動を勧告しているが100万を遥かに超える人々の移動は物理的に不可能である。残虐な攻撃を仕掛けたハマスに対してイスラエルには報復の権利があると主張する。しかし、そのことと極限の人々を救う人道上の問題は別ではないか。

 救急医療を担うパレスチナの団体は患者を見殺しにできないとして避難拒否を表明した。イスラエルは避難しない住民はハマス側とみなすと警告。ハマスはガザの地下に縦横の穴を設け徹底抗戦の構えで、住民に自宅にとどまるように呼びかけている。この事態に国連は何をしているのか。国連はイスラエルの退避勧告に対し、ガザの人々を更に奈落の底に突き落とすだけと主張。そして国際人道法の順守、民間人保護最優先を呼びかけている。世界保健機関も重病患者に移動を強いることは死刑宣告だと指摘。

 注目すべきは英BBCが敢えてテロリストの表現を避けている点だ。政府や与野党の批判に対し自分たちは中立の立場なのだと主張する。テロと呼ぶのは片方の側に立つことで、公平中立に報じないことになる。感情に走らず事実を示すことがBBCの仕事だと述べた。私の想像だが、BBCの基底にはパレスチナに対する歴史的同情とイギリスが犯した誤りへの思いがあるに違いない。

 アメリカはイスラエル支援をいち早く打ち出すと同時に民間人救出に力を注いでいる。この戦争を抑えるために力を尽くすことは超大国の使命である。効果を挙げられなければ世界の批判を受け、存在感を低下させることになる。

◇イラクに加えて中東に火がつき二つの戦争が同時に進行し大戦争のリスクが感じられる。中東の大国サウジアラビアはイスラエルに接近しつつあったがその姿勢を改めると表明。世界のイスラム教徒の批判を恐れてのことだ。もう一つの中東の大国イランは始めからハマスの支援を鮮明にしている。ロシアはこれらの国を支持する気配である。アメリカが複数の空母を派遣しているのはこれらの動きを牽制する目的に違いない。

 私は日本の役割は重大かつ困難だと思う。発展途上国に信頼されている立場を最大に活かさねばならない。同時にアラブから最大の原油を頼っている。オイルショックの再来は避けねばならない。政府はテロだとして許さない立場だが外交力の真価が問われる時だ。その時、現実と理念と歴史を重視することが重要だ。(読者に感謝)