人生意気に感ず「カリコ氏のノーベル賞に思うこと。多様性と女性の役割。大谷の本塁打王が示すこと」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「カリコ氏のノーベル賞に思うこと。多様性と女性の役割。大谷の本塁打王が示すこと」

◇今年のノーベル生理学・医学賞には私たちの健康に結びついた身近さと感動を感じる。新型コロナウイルスに対するカリコ氏等の貢献だ。数百万人の命を救ったと評価された。

 新型コロナウイルスは人類に挑戦し、あっという間に全世界に波及した。最近やっとトンネルを抜けたが、歴史を振り返って過去のウイルスとの闘いと比べて画期的だったのはワクチンの効果だった。

 ワクチンの新時代の基礎を築いたカタリン・カリコ氏の人生は苦難に満ちたものだった。その中で自分の学説を信じて貫いた歩みは研究者のあるべき姿を物語る。

 カリコ氏は共産主義のハンガリーで生まれ科学者など見たこともないという田舎町で育った。名門大学での研究者の生活も研究資金が得られず厳しかった。

 車を売った金を娘のぬいぐるみに隠し「鉄のカーテン」を超えてアメリカに渡った。当時外貨の持ち出しは制限されていたのだ。

 遺伝子を研究しワクチンに使う発想は評価されず、降格も経験した。不遇の時代を支えた同僚が共同受賞者のワイスマン氏だった。二人は大学のコピー機の前で知り合い意気投合した。カリコ氏は受賞のインタビューで「コピー機を増やせば」とユーモアを示した。彼女は言う。「科学は積み重ねの上に成り立っている。私たちの研究はいつどこで役立つか分かりません」

 カリコ氏の成果は常識にとらわれないユニークな発想から生まれた。それは多様性の尊重である。彼女は言う。「多様な立場からの建設的な批判が良い成果に繋がる」。そして、多様性を活かす観点から科学に於ける女性の存在の重要性を訴える。「理系女」という言葉が流行った。科学者を目指す女性が少ないことを物語るもの。女性は科学の分野で未開拓の存在であり、その意味で限りない可能性を秘めている。カリコ氏の受賞から、日本の科学界及び教育界は大いに学ぶべきである。

◇米大リーグで大谷が本塁打王となった。対立するチームの主力選手が天を指して「彼は上から来たエイリアンだ」と賞讃する場面があった。敗戦の焼土を体験している私の頭にはアメリカにはかなわないという観念がすり込まれている。だから昔、力道山が巨体のアメリカ人を空手チョップでぶっ倒す姿に熱狂した。

 最近の日本は正統なスポーツの世界で互角にアメリカと渡り合っている。それを象徴するのが大谷の快挙。大谷の控え目で誠実な人柄は武道とサムライの文化を発信している。(読者に感謝)