人生意気に感ず「性犯罪法案の行方。子どもの保護と加害者の人権。市の週休3日制」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「性犯罪法案の行方。子どもの保護と加害者の人権。市の週休3日制」

◇「日本版DBS」、性犯罪法案の臨時国会提出を政府は断念するという。法案の社会的背景として子どもに対する性犯罪が繰り返されている「現実」がある。子どもを守ることに重点を置くか、性犯罪者の人権をどこまで考慮するかのバランスの問題である。私は上の現実を科学的に検討することも重要だと思う。もし一部の学説のように遺伝子レベルの異常がかかわるとすればそれだけ責任能力の追求は難しくなる。政府有識者の慎重論の背景にはこのような一面があるのかも知れない。

 与党の主張は子どもの保護に力を入れる。そこで性犯罪歴がないことを確認すべき範囲の拡大を求める。「職種を広げないと実効性が保てない」、「一定期間が過ぎた前科が対象にならないのなら、過去に性犯罪を犯した人間に無犯罪証明を出すようなもの」等の意見が主張されたという。また、性犯罪歴について確認できる期間も問題になるが与党は長期にすべきと主張する。更に、前科については自治体の条例違反や懲戒免職などの行政処分も対象にすべきだと訴えている。

 政府の有識者はこれらの点につき次のように慎重である。職種の対象範囲については、学校や保育所は義務化とし、学習塾などは任意とする。義務化とは一律形式的に対象にし、任意とは実情に応じて弾力的にということだが学習塾が学校のように普及している現実からすれば子どもの保護に大きな穴をつくることになる。議論を重ねて知恵と工夫を尽くすべきだ。

 更に、政府の有識者は性犯罪歴を確認できる期間や犯罪の種類についても限定的である。即ち前者については上限を設け、後者については不同意わいせつ罪などの前科に限るべきとする。これは加害者の更生を考慮するものだが余りに不徹底である。子どもの保護と加害者の人権の観点から丁寧な議論が求められる。

 加藤鮎子子ども政策担当相は就任の会見で述べた。「さまざまな意見を丁寧に伺いながら法案化の作業を進めたい」。私は地方議会が大きな課題を問われていると考える。現在地方議会の空洞化、劣化が問題となっている。地方議会で人権を問題にできる人材が少ない。今回の問題を子ども政策の中心に据えて研究を進めて欲しい。

◇前橋市は週休3日制の方向を打ち出した。背景には少子高齢化や労働者のニーズの多様化がある。育児や介護の面の要請も大きい。社会はその方向で動くに違いない。他県や民間も動き出した。働き方改革の重要な一環である。(読者に感謝)