人生意気に感ず「インドの存在感、意外な首脳宣言の採択。ネールとパールの存在」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「インドの存在感、意外な首脳宣言の採択。ネールとパールの存在」

◇ロシアのウクライナ侵攻や米中の対立激化という複雑な国際情勢下でインドが存在感を増している。インドといえばイギリスの植民地支配に対し不服従・非協力を以て闘ったガンジーそしてネールの存在が重い。その伝統が現在インドの国際活動に底流で繋がっているように思われる。

 G20サミットが始まった。この会議の最大の課題は世界的な問題の解決に力を合わせる筋道をつくることだ。先行き不透明な世界経済への対応、公正な貿易の推進、気候変動、食糧危機、AIへの対応などである。これらは世界が一つにならねば解決に近づけない。最大の妨げは大国の対立である。そこで中国の習主席・ロシアのプーチン大統領の欠席はいかにもまずい。米中ロのトップが同じテーブルにつき、意見を交わすことに大きな意義がある。

 インドのモディ首相は議長として大変意気込んでいるが中ロトップの欠席を強く残念に思っているに違いない。調整が難航していた首脳宣言が初日に採択された。モディ首相は「我々のチームの懸命な努力と皆さんの協力のおかげで合意に達することができた」と述べた。宣言の中心は「全ての国が領土獲得のために武力による威嚇や行使を控えなければならない」というものである。そしてロシアによる核の脅しを念頭に「核兵器の使用や威嚇は許されない」と訴えた。

◇ネールとパール博士に触れたい。この二人は私の心をインドに結びつける存在だからだ。ネールは独立運動で長く牢屋にいたが、牢中から娘に手紙を送った。ネールはその中で日本が世界最大の強国ロシアと戦って身が震える程驚いたことを語る。植民地として西欧の支配下にあったインドとして同じアジアの小国日本がロシアを征したことは驚天動地の快挙と思えたのだ。しかしと、ネールは続ける。「その後日本は列強に組してアジアを支配する側に立ってしまった」と。

 パール博士はインドの法学者で、極東国際軍事裁判で連合国が派遣した判事の一人であった。この東京裁判で連合国側は判事全員一致の有罪判決を目指した。これに対し唯一人反対した人がパール判事だった。日本の戦犯は平和に対する罪と人道に対する罪で裁かれたがこれは事後法であるから被告人は無罪だと主張した。人を裁く法は後から作られたものであってはならないことは罪刑法定主義の大原則である。しかし、パールの判決書は容れられなかった。