人生意気に感ず「赤ちゃんポストの現実は訴える。“支援疲れはない”とポーランド外相の声」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「赤ちゃんポストの現実は訴える。“支援疲れはない”とポーランド外相の声」

◇送られてきた北海道新聞の一面に私と成合さんの写真が載っている。背景は大胡町の通称「駆け込み寺」。雑草が繁る谷の斜面に白い建物が忽然と現われた。この谷の入口には女優木暮実千代の艶やかな姿を刻んだ石碑がある。戦後の混乱期のある日、東京で靴を磨く一人の戦災孤児の前に車が止まり、美しい女性が降りた。この人は靴を磨くのではなく黙って高額の金を置いて立ち去った。これが、この施設の原点に関わった伊藤幸夫と女優木暮との運命の出会いであった。私は96歳の成合さんを支えて坂を下り白い建物の前に出た。ここに通って子どもたちと交わした日々のことが甦る。あの子たちはどう生きているだろうか。北海道新聞の女性記者は、今話題の赤ちゃんポストの先駆的役割を果たした大胡町の施設を振り返る目的で前橋を訪れたのだ。この施設で生きた子どもたちの中には過去を隠して必死で生活している人もいる。非道な親の仕打ちを知って怨んでいる人もいるだろう。未だ見ぬ母に一目会いたいという思いに駆られている人もいるに違いない。私は廃墟を前にして冷たい世の現実と捨てられた小さな命の存在を考えた。社会には熱い思いの篤志家がいるが行政の支援がなければ十分なことは出来ない。法の不備と行政の腰が引けた姿勢の故に歯がゆい状態が全国に存在する。北海道新聞の記者は地元の現実に押されて前橋を訪ねた。北海道新聞の前には西日本新聞の記者が私を訪れた。文字通り北から南である。私は記者と話を交わした。豊かな社会の陰で冷たい現実に耐えて生きる命を救わねばならないと。これは人間尊重を訴える憲法の問題でもある。個々の存在は社会的に小さい。しかし全国的な実態は大きい。私はカトリックの先輩長老の故角田義平治さんの縁で「天使の宿」に関わった。角田さんは「後は中村君に」と言ったが私は何も役割を果たせない思いを今改めて残念に思う。

◇ウクライナの反攻が迫っている。世界情勢はどう動くのか。来日したポーランドの外相は支援疲れはないときっぱり言った。それはウクライナは自分の国のためだけに戦っているのではないからだと強調した。ロシアの侵略を受けたポーランドの歴史を踏まえたこの言葉の意味は重い。ウクライナはロシアに攻め込むことは出来ない。ロシアはウクライナの戦場で破れても自国内で戦力を回復して戦いを続けられる。この泥沼に終止符を打つ力は国際世論である。そこに一石を投じ得るのが目前に迫ったG7広島サミットである。(読者に感謝)