人生意気に感ず「広域強盗団の強制送還の行方。ブラジル刑務所の出来事」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「広域強盗団の強制送還の行方。ブラジル刑務所の出来事」

◇今話題の強盗団の頭領株が遂に強制送還される。伝わるところによる被害額は何十億というからにわかに信じ難い。人はかく簡単に欺されるものか。しかし、それ以上に信じ難いのは彼らの収容施設における傍若無人振りである。スマホを使いやりたい放題だったという。それは施設の職員の協力なくしてできないことだ。賄賂の汚職が日常的に行われていたことが分かる。フィリピンという国の社会の実態が窺われる。刑務所ではないが司法制度の一環である。民主主義を支える基盤がいかに危ういものかが分かる。

◇この事件を見て、私は2005年に県議会長としてブラジルを訪問した時のこと思い出す。

 当時の「ニッケイ新聞」がリオジャネイロの刑務所の驚くべきことを報じていたのだ。刑務所内から携帯電話を利用した振り込め詐欺が急増している。取締を厳しくしてもいたちごっこである。囚人は外部と連絡を取り合ってその被害は甚大だという。この新聞では日本のことも次のように紹介されていた。「オレオレ詐欺と呼ばれ巨額の被害が出たこと、そして“オレオレと行ったら女房電話切り”」と。私は思わず苦笑してしまった。

 このような社会状況だからブラジルの治安は非常に悪い。信号待ちの時窓を開けないようと厳しく注意されたし、日本人会の会長は私が議長ということで日本側と交渉して屈強な2人のボディガードを付けた。夏だというのに2人の大男は黒いコートを着て私の左右をガードした。コートの下には銃があるとのこと。レストランに入っても2人は周囲に鋭い目を光らせていた。私は映画の世界を連想しながらブラジル社会の深刻さを肌で感じた。

 それにしても、日本の治安は良好である。いや、良好であったと過去形にすべきだろう。地下鉄サリン事件以来安全神話は崩壊してしまった。それでも外国人訪問客は日本は安全だと言う。これ以上日本の治安を悪化させてはならない。フィリピンの施設から現代日本の社会の病理を象徴するように、連中が送還されてくる。一罰百戒の機にすべきだ。天網恢々疎にして漏らさずという諺がある。天の法の網は広く決して悪事を逃さないことを今こそ実践して欲しい。末端の若者は罪の意識もなくバイト感覚で高齢者を苦しめている。高齢社会を食い物にする白アリの根本を根絶やしにしなくてはならない。日本が沈没していくかの瀬戸際というべきである。(読者に感謝)