人生意気に感ず「ゼレンスキー氏の米議会登場の衝撃度、ロシアの誤算の行方」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「ゼレンスキー氏の米議会登場の衝撃度、ロシアの誤算の行方」

◇慌ただしく今年が暮れる。地球劇場の一幕が終ろうとしている。私たちは壮大なドラマの観客なのかドラマの当事者なのか。そのことが問われている。私は問題を一点に絞って観客であってはならないと訴えた。それはロシアのウクライナ侵攻である。2022年2月24日、ロシアはウクライナへの軍事侵攻を開始した。ウクライナという国の危機である。それは自由と民主主義という普遍的価値が踏みにじられる事態になるが故に私たち自身の問題なのだ。軍事独裁国の侵略は、私たちが傍観者でいれば次は我が国が犠牲者になり得る。

 プーチン氏の大誤算が叫ばれている。誤算の核心はウクライナの覚悟を甘くみた点にある。ロシアは核を持つ超大国であるから簡単に制圧できると考えたに違いない。私はこの10ヶ月を振り返ってゼレンスキー大統領の戦う姿に目を見張る。もしこの人が自身の保身を考える政治家であったならウクライナの兵士はひとたまりもなく破れ去ったに違いない。大統領自ら前線に立つ姿を示しているから兵士の志気が燃え上がっている。私のある友人はゼレンスキー氏のヒゲと戦時のスタイルを見てテロリストだと言った。これは木を見て森を見ずで問題の本質を知らない人の言葉である。ゼレンスキー氏は近代文明の利器を巧みに駆使してメッセージを発信し国際世論を動かしてきた。それは戦う武器がミサイルや戦車だけでないことを雄弁に見せつけることになった。その極めつけが今月21日のホワイトハウス訪問であった。ゼレンスキー氏はこれまでオンラインで米議会に訴えていたが今回は直接の姿である。しかも驚くべきはスーツではなくテロリストを思わせる戦時のスタイルなのだ。戦時下の元首が直接米議会に登場するのは極めて異例で、それは第二次世界大戦時のチャーチル英首相以来のことだ。米議会の人々は万雷の拍手で迎えた。議長席に立つ2人の女性にゼレンスキー氏はウクライナの国旗を渡した。2人の女性とはペロシ下院議長とハリス副大統領で、国旗には前戦の兵士たちの寄せ書きがあった。ゼレンスキー氏は「来年が転機になる」、「この戦いで我々の子孫がどんな世界に生きるか決まる」と訴えた。米議会は膨大な軍事支援の予算をその後に可決した。支援疲れが言われ出していた世界の世論に喝を与えた意義は図り知れない。ウクライナの兵士たちは勝利を確信したに違いない。来年の「転機」はすぐそこにある。(読者に感謝)