シベリア強制抑留 望郷の叫び 二十四 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

シベリア強制抑留 望郷の叫び 二十四

※土日祝日は中村紀雄著「シベリア強制抑留 望郷の叫び」を連載します。

 

 五 古文書館で「スターリ大元師への感謝文」を入手

 

 日本総領事館を出て、ハバロフスク国立古文書館を訪ねた。私は、外務省を通してあらかじめ次のような依頼書を出しておいた。

 

 最近、アレクセイ・キリチェンコ(ロシア科学アカデミー東洋学研究所国大学術交流部長)の「シベリアのサムライたち」という論文を読みました。それは、グラスノスチ(情報公開)の中で、知り得た資料に基づいたものです。このように、シベリア抑留の新事実がロシア側から公開されつつあることは大変意義のあることです。ハバロフスクの古文書館で、入手

できる新事実があれば是非お願いしたいと存じます。二十一世紀の日ロの良い関係を築くために使用したいと考えております。

 

 ハバロフスク国立古文書館は、外見は普通のビルの一角という感じであるが、中は警備が厳重で、重要書類を政府が守っているという印象を受ける。館長は、エフドキーモヴァさんという中年の女性であった。女性の広報部長サレーエフさんが同席して迎えてくれた。二人の女性は大変好印象であったが、それは、パタポア女史のお陰であった。女史は、ハバロフスクでは名士であり、特に日本との関係で知られているが、ここでは女性同士ということで、一層良い雰囲気をつくり出していた。このことが、ここでの良い収穫に結びつくことになったことは否定できない。私は用意したプレゼントを女性館長に渡した。一つは絹製のテーブルセンターで、平安時代の宮廷の貴族の様を鮮やかに刺繍したもの。他は私の著書二冊である。館長はテーブルセンターが気に入ったようであった。

 

つづく