人生意気に感ず「相法更迭と首相の責任。米中間選挙にみるアメリカの正体」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「相法更迭と首相の責任。米中間選挙にみるアメリカの正体」

◇葉梨法相は予想通り更迭となった。報道によればこの人はこれ迄も複数回同様な発言を繰り返していたという。もしそれが事実で、しかもそれをしりながら法相に任命したとすれば岸田総理の責任は葉梨法相以上に重大であると思う。このことを本格的に追求できなかった国会の状況は我が国の死刑に関する人権状況を雄弁に物語るものだ。

 憲法は残虐な刑罰は絶対に禁ずると定める。誰もが不思議に思うことは、死刑は残虐な刑ではないのかということである。最高裁の判例は現行の絞首による執行は残虐に当たらないとする。この方法は明治6年の太政官布告以来のもの。およそ150年も前の執行方法が、しかも人権尊重の憲法の下で依然として行われていること自体が不思議でならない。私は死刑が残虐か否かは執行の瞬間の苦痛だけでなく、それに居たる迄のいつ執行が宣告されるかを待つ間の精神的苦痛も含めて考えるべきだと思う。死刑囚がその時を迎える状況について幾つも読んだが、その恐怖は筆舌に尽くしがたいものだ。国民の多数は死刑制度容認論だが、それはことの実態と制度の本質を理解しないことに基づくものだ。私の周りの女性たちは凶悪犯に際して死刑のことを聞くとほとんど例外なく「死刑よ」と答える。これは臭いものに蓋をするという国の政策の結果に違いない。そろそろこのようなことが通用しなくなってきている。葉梨法相はこのようなことには思いも及ばないに違いない。恐らく更迭に至ったことをこの期に及んでも運が悪かったくらいにしか思っていないのではないか。

◇アメリカの中間選挙の結果は意外な展開となっている。意外性を象徴する一つはトランプ氏の光景である。周囲にあたりちらす無様な姿が報じられている。上院は民主党の優勢がほぼ確実らしい。下院も共和党との差が僅差になっている。私は当初「赤い波」の確実性が報じられ2年後のトランプ大統領の実現を想像して暗い気持ちになった。アメリカ社会の分断は深刻らしいがいざという時には一つにまとまるのがアメリカの特色である。現在、その「いざ」に当たると思われる。バイデン氏は今回民主主義の危機をしきりに訴えた。アメリカ国民の多くは記録的なインフレよりも「いざ」を選んだに違いない。民主主義というアメリカの根幹が倒れることはアメリカの破滅ばかりでなく世界の崩壊に繋がることを若い人たちを含めたアメリカ人の多くは感じたに違いない。世界劇場の舞台がダイナミックに回り出した。(読者に感謝)