人生意気に感ず「シベリア強制抑留とウクライナ侵攻。地獄の拷問あと」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「シベリア強制抑留とウクライナ侵攻。地獄の拷問あと」

◇シベリア強制抑留を描いた私の「望郷の叫び」が今一部で注目されているらしい。平成16年に前橋市在住の元抑留者の方2人とハバロフスクの強制抑留地跡を巡って書いたものである。刑務所の囚人まで駆り出して満州の荒野で悪虐非道の限りを尽くし国際法を無視して60万人もの日本人を酷寒のシベリアで強制労働させおよそ6万人もの人々が無残の死を遂げた。それは現在のロシア侵攻に伴う残虐行為と構造的に酷似している。戦争は何でもありの事態を引き起こすが、それでも国家の体制によって大きな違いを生ずる。個人の人権よりも国の利益を優先させる独裁国家ではそもそも人権思想が育っていないからとんでもない人権無視の非道が行われるのだ。拙著が今少しでも注目されるのはこの点を抑留体験者の目を通して身近なものとして描いたからに違いない。土日祝日のブログに通常の日記の替わりに掲載することにしたので読んで頂ければ幸である。

◇ロシア軍撤退後、彼らの信じ難い残虐の実態が明らかになっている。ウクライナ東北部ハルキウ州のイジウムでの死臭漂う民間人の集団墓地のことが報じられている。戦争犯罪を調査する当局の遺体掘り起こしの現場である。膨張して腹が大きくふくれ上がった遺体、そして多くの遺体には手足を折られるなど拷問のあとがあった。いくつかの男性の遺体は性器が切られていた。「こんな悲惨な光景は初めて見た」と捜査官。遺体は計447体で女性が215人を占めたという。拷問の現場を想像すると慄然となる。こんな恐怖の体制でロシア併合の可否を決める投票が行われたのだ。投票の捏造(ねつぞう)以外にない。プーチンは住民が自主的に選んだ道であり、ロシアになったと宣言。ロシアへの攻撃にはあらゆる手段で反撃する。「これははったりではない」と恫喝した。核を振りかざした狂乱の独裁者の姿が迫る。この脅威に屈すればプーチンの思うつぼである。プーチンは核を使用するか。息を呑む瞬間が過ぎる。動員令が出されたためそれを逃れ国外へ脱出した若者は数十万人にのぼると言われる。ウクライナは攻撃を緩めない。その勇気に大きな救いを感じる。全世界を力が支配する弱肉強食の時代に戻してはならない。

◇今月、私の新著が完成し世に出ることになった。上毛新聞の「ひろば」欄に載った各記事に囲みの感想欄を設け、短編小説を加えたもの。元総理福田康夫さんの一文が添えられている。(読者に感謝)