人生意気に感ず「立憲君主制の試練と英国の存在感。日本の国葬の意義は。シベリア抑留の講演を」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「立憲君主制の試練と英国の存在感。日本の国葬の意義は。シベリア抑留の講演を」

◇エリザベス国王の国葬に全世界の目が釘付けになった。没落した大英帝国の絶大な存在感が甦ったようだ。それは治乱興亡の世界史が一挙に展開された光景であった。複雑な現代社会で国民の支持を得て君主制を維持することは難しい。フランスでは革命によって王は処刑された。英王室にとってそれは決して他人事ではなかった筈だ。英王室が危機を乗り越えて現在の姿を示すのは奇跡とすらいえる。それは70年という奇跡の在位を貫いた女王の功績に負うところが多い。女王の死によって英王室はどうなるのか。全世界の注目はその一点に集まっているかのようだ。しかし圧倒的な今回の国葬は英国民の心に大きな誇りを取り戻した。これは世界の安定に寄与する出来事だから単に英国だけの問題ではないと私は考える。ロシアのウクライナ侵攻と重なるようにこの国葬が行われたことに重要な意味を感じられる。プーチンが夢を追うかつてのロシア帝国は復活が不可能な幻である。それと対比して英王室の姿を見るとき変化するもののみが生きながらえるとするダーウィンの進化論を思い出す。

 国葬となった人物に万有引力を発見することにより現代物理学の基礎を築いたニュートンが居ることに改めて驚く。これらの歴史を振り返るとき、英王室の存在は国民の支持力の回復と世界の評価の盛り上がりによって今後に向けて息を吹き返したと感じられる。

 日本の国葬が近づく。英国のそれと誰もが比較してしまう。見劣りは避けられない。岸田首相の不手際は日本の民主主義の視点からも重大である。国葬への反対は増え政権支持率の下落は止まらない。棺を覆って事定まるというが安倍元総理の評価に対し暗雲が漂う事態を残念に思う。

◇明日22日は前橋市の元気21でシベリア強制抑留についての講演を行う。約60万人が酷寒の地に連行されそのうち約6万人が非業の死を遂げた。プーチンのウクライナ侵攻と重なる。ロシア軍撤退後の埋葬地から信じがたい程の残虐行為の証拠が明らかになっている。私は強制抑留地の跡をその体験者と共に巡った。その一人である故塩原さんは「日本人を安らかに眠れ」と書かれた墓標の前で号泣した。生存者がほとんど世を去った今、凍土で無念の涙を呑んだ人々の死を語り伝えねばならない。シベリア抑留の事実は現代の民主主義と専制主義の対立の根深さを訴えている。(読者に感謝)