人生意気に感ず「荒波に沈む船、北方領土との関わり。船中から妻への声。御巣鷹を思う」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「荒波に沈む船、北方領土との関わり。船中から妻への声。御巣鷹を思う」

◇3mともいう荒波に、なぜ観光船は乗りだしたか。ゴールデンウィークを控え、そして異常気象が常態化する中で、今回の事故は私たちに警鐘を鳴らしている。全員で26人中11人死者が報じられ、なお15人が見つかっていない。

 多くの行方不明者は東の海域に流されている恐れがあるらしい。その方向にはロシアが実効支配する国後島がある。

 ロシアのウクライナ侵攻の影響で北方領土にも政治的荒波が押し寄せる感があった。ロシアはどさくさに紛れて北方領土を返さないと言い出したとか。この緊張関係は今回の観光船事故の捜査活動にどのように影響するのか。

 この点、捜索関係についてはロシアとの間に協定があり、ロシアへの通知のみで活動が可能となる。この通知は既になされロシアは「了解した」と回答したと言われる。国後島周辺海域の捜査は既に行われているのであろうか。

◇26日福岡市の西日本新聞社のある記者の取材を受けた。かつて私が関わった「かけ込み寺」のことに関してである。今日の社会状況の下で重要な問題点を含むのでここに記すことにした。熊本の慈恵会病院が赤ちゃんポスト「ゆりかご」を始めてから15年になる。この記者は私が関わり既に解散した「かけ込み寺」のその後を追っている。当時赤ちゃんポスト的役割も果たしていたからだ。「ゆりかご」がポストで受けた赤ちゃんは15年間で159人とか。熊本市長が名付け親となり救済の道を探っているらしい。赤ちゃんを捨てる親がある以上それを救う民間ボランティアの存在は重要だと思う。かつて戦災孤児を助けた鐘の鳴る丘の品川博さんを思い出した。ウクライナの戦乱の中でも孤児は出るに違いない。私が関わってきた満州難民が生んだ孤児は今日まで尾を引いている。極限の状況で子を手放す親の気持ちは胸を打つ。しかし現代社会では遊びの中で生まれた小さな命が翻弄されていくのだ。社会の病巣が不気味に広がる。

 小さな命の救済は民主主義や平和等の大きな問題と繋がっている。考える原点にしたいと思う。

◇こうしている間にも荒れた海に消えた観光船の行方が気になる。佐賀県有田町のある男性は沈みゆく船から妻に電話をかけたという。「乗っている船が沈みそうだ。お世話になった。ありがとう」。日航機事故の惨劇を思い出す。御巣鷹山へ激突する寸前、人々は機中から最期のメモを残した。一瞬を見詰める命。逆巻く波の中の恐怖を想像する。そして一瞬を生きる幸せをかみ締める。(読者に感謝)