人生意気に感ず「黒人の女性モーゼ。黒人兵の強さ。20ドル札に」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「黒人の女性モーゼ。黒人兵の強さ。20ドル札に」

◇ウクライナを巡る状況は一触即発に見える。大軍を集結させるロシアにいかなる理由があるのか。権力の横暴に苦しめられる人々は常に社会的弱者である。世界中で理不尽で血なまぐさい争いが絶えることがない。そこには常に身を捨てて正義のために戦った人がいた。私は真の平和主義者とは、究極には血を流すことを恐れずに戦える人だと信じる。戦争は嫌いで避けるべきは自明の理である。しかし、平和を守るために正義を貫いて弱者を救うために戦わねばならないことがあることも歴史が示す厳然としたことである。

 アメリカの黒人奴隷の救済のために戦ったハリエット・タブマンの一コマを切り取るように先日のブログで書いた。それは来月の「ふるさと未来塾」で奴隷を扱うことから予告的な目的があったのである。そうしたら、もっと知りたいという熱い反応が寄せられた。私としてはこんな嬉しいことはない。タブマンは既に触れたように元黒人奴隷で、黒人奴隷の逃亡を助ける秘密結社の指導者の一人であった。この「地下鉄道」に関わったストウ夫人のことは日本アカデミーの“平和”の講義でも取り上げた。ストウ夫人は当時の大ベストセラー「アンクルトムの小屋」を書いた人である。

 今回のタブマンは南北戦争との関わりを切り取って語りたい。南部の黒人奴隷は正に天の時が来たとばかりに北軍へ参加しようとした。彼らは北軍が負ければ殺される運命であるから必死で戦う覚悟であった。黒人の軍隊編入をためらっていたリンカーン政府も遂に戦場に於ける現実の事態を前にして1862年黒人の軍隊編入を承認したのである。黒人は白人兵士にはみられないほど果敢な働きをした。ここで「地下鉄道」の「女性司令官」タブマンの活躍ぶりには目を見張るものがあった。彼女は先に記したように「黒人の女性モーゼ」と黒人から慕われたというが黒人たちは先頭に立つタブマンの姿にかつて脱エジプトを指揮したモーゼを重ねたに違いない。私は紅海の逆巻く波が二つに分かれた映画「十戒」のシーンを思い出す。アメリカ合衆国の歴史に於いて奴隷制は最大の恥であった。肉が裂ける程日常的に鞭で打たれ、奴隷は魂まで破壊された。主人の所有物、動産として扱われたが彼らは人間であったのだ。タブマンに率いられた軍勢はとにかく強かった。戦国時代の一向宗が死を恐れぬ故に強かったと言われるが黒人兵も同様であった。タブマンはスパイとして、また白人兵の案内人としても素晴らしい力を発揮した。現在の注目すべき事実として、タブマンの肖像が20ドル札に採用される手続きが進められている。人権の国アメリカの救いの一面である。(読者に感謝)