人生意気に感ず「千玄室さんと利休。特攻隊の生き残りは健在。茶の精神は世界に通じる」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「千玄室さんと利休。特攻隊の生き残りは健在。茶の精神は世界に通じる」

◇私はある茶の会に関わっている。血で血を洗う戦国時代でも人々は茶の世界に浸って心の救いを感じたに違いない。現在コロナ禍にあって茶の集いが中止になっているのは残念である。このような時こそ一服の茶を味わう意義がある。コロナ戦争と言われる中で人々は不安とストレスで平常心を失いつつある。私たちの心の救いは伝統の文化でありその中に茶がある。現実に茶が不可能ならせめて想像の世界で味わいたい。

 私の目の前に衝撃の写真がある。死を覚悟した7~8人の特攻隊員が茶会をする姿である。点前をするのは裏千家の前家元千玄室さん。あれから76年が過ぎ千さんは98歳である。出征の時、千さんは父から利休が腹を切った短刀を見せられた。父は言った。「利休のように潔く死ぬんだぞ」。また母は訴えた。「何かあったら利休さまと呼ぶのよ。あなたの守り神は利休さまよ」。

 前記茶の時仲間は故郷の方角を向いて叫んだという。「お母さーん」。特攻による死者は6,418人にのぼった。これは無謀な戦争の犠牲者であるが若者たちの心には国や家族を守るためという純粋なサムライの姿が生きていたに違いない。私は靖国神社で特攻隊員たちの写真を見て胸を詰まらせた。

 今年は利休生誕500年。千さんは言う。「茶を通して利休が教えた一番大切なことは相手を思いやる心、そしていたわり合う心です。それを失った究極が戦争でした。思いやる心がなければ地球環境も駄目になる。その時が遠くないように思えて心配です」

 利休が説いた茶道の神髄は「和敬清寂」である。互いに勧め合う(和)、身分に関係なく尊敬し合う(敬)、清らかな気持ちを持つ(清)、動じない(寂)。秀吉と対立して動じなかった利休の心が伝わってくる。ここに込められた思想は時を超えて普遍的なものである。

 現在全世界はコロナウイルスと戦っているが勝つための鍵は国境や人種を超えて思いやりいたわり合う心である。千さんは現在も多くの役職を勤めている。コロナウイルス拡大前は年間100日間は海外へ飛び献茶式を開き戦争のない世界を求めて行動してきた。日本は百寿社会になった。百寿者(センテナリアン)の代表としてこれからも走り続けるのだろう。それは日本の文化が走る姿でもある。私も千さんと共にセンテナリアンの世界に進むことを楽しみにしている。(読者に感謝)