人生意気に感ず「今年の漢字・“金”の意味。医療機関の苦闘は野戦病院の如く。米の竜巻は天の爆撃か」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「今年の漢字・“金”の意味。医療機関の苦闘は野戦病院の如く。米の竜巻は天の爆撃か」

◇今年の漢字が「金」に決まった。京の清水寺で力強い大書が描かれ背景には京の山や寺が見える。この墨書と共に日本の歴史と文化の凝縮した姿が迫るようだ。最近、県書道展で多くの作品に接した。それから作者の心が伝わる。印刷文字や欧米の文化にはない文字に込められた精神の躍動が感じられる。私は若い頃、ある所で山岡鉄舟の文字の前で立ちすくんだ経験がある。まだ書に対する思い入れもなかった時代である。

 現代日本人の心の力が薄くなっていく時に、そしてコロナで押し潰されるようなストレスを感じる時だけに優れた書には天の一角の晴れ間を思わせるものがある。「今年の漢字」で「金」が採用されるのは44回目である。応募の中の最多のものが選ばれる。選んだ人たちの理由が世相を反映して興味深い。東京五輪・パラリンピックの日本人選手が得た金、大谷翔平選手らの金字塔の金、コロナ禍での休業支援の金などが挙げられたという。金は古来あからさまな欲望の低きからそれが昇華された高みに至るまで人間の心を揺り動かす。清水寺の金はその昇華の象徴であり、政府が給付する10万円はその対極の例ではないか。

◇コロナに振り回される中で今年が暮れる。昨年の大変な時期から今日のやや静まった状態まで私たちの多くは無事に過ごしてきたがそれを支えた医療機関の苦闘は非常に大変なものであった。今後の事態に備えるために私たちがそれを知ることは医療機関への最大の支援となるに違いない。報道は県内のコロナ対策の重要な砦である群馬中央病院の苦闘を伝えている。600人以上いる職員全員はマスクやガウンなどの防護具の脱着を学びそれを徹底させたという。医療従事者の心に隙が生じれば院内に感染が広がる。それを「絶対に防ぐ」という決意である。私たちはコロナ禍を「世界戦争」と言ってきたがこの言葉の重みも慣れという大きな流れの中で変化してきた。しかし世界戦争の実態はコロナ対策拠点の医療機関でより鮮明であったのだ。それは沖縄を例外として戦場にならなかったあの大戦を振り返る時、医療機関だけは野戦病院のような緊迫感に包まれていたことを知る。第6波に備えるに当たり、医療機関及びその従事者にとっての最大の報酬は地域住民の温かい声援に違いない。ここにコロナ対策の原点があると思う。

◇米の竜巻の惨状は想像を超える。死者は数十人を超え、中西部の映像はさながら爆撃の跡を思わせる。温暖化による異常気象の一端だと思う。(読者に感謝)