人生意気に感ず「書道の表彰式で心を打たれたこと。トヨタのものづくり精神・米議会公聴会の出来事」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「書道の表彰式で心を打たれたこと。トヨタのものづくり精神・米議会公聴会の出来事」

◇昨日(13日)高崎の会場で第72回群馬県書道展覧会の表彰式があった。コロナが下火になったことで実行に踏み切ったのである。書は茶と並ぶ伝統文化であるが裾野が広く日常生活に深く関わっている点では格別である。

 数年前中国書道界と群馬の書道界との間で大きな交流展を行った。精神文化による日中の交流という点で今日重要な意味をもつ。私は日中友好協会の会長及び群馬県書道協会顧問という立場で表彰式に列席した多くの人たちの表情を見詰めた。顔は履歴書という言葉があるが私は会場を埋めた人々の顔を、書の作品群を見る思いで眺めていた。

◇「文藝春秋」は私の愛読書の一つであるが2・3日前に創刊100周年記念・新年特別号が出た。面白い読み物としてトヨタ社長の「すべての疑問に答える」及び100周年記念企画「100年の100人」がある。

「すべての疑問に答える」では豊田佐吉以来現在のトヨタに至るまでに流れる「ものづくり」の経営理念を興味深く読んだ。日本の産業界を牽引する巨大企業も未曾有の危機に直面していた。トヨタは世界競争の中で、ものづくりの原点を忘れ「お金をつくる」会社に変貌したところに深刻な事態が発生した。その一つが大規模なリコールである。社長が米下院の公聴会に呼ばれ3時間20分を乗り切る様子は実に興味深い。

 トヨタの専用機で渡米した社長は「逃げない、誤魔化さない、嘘をつかない」を貫いてこの緊迫の時間を切り抜けた。社内では社長が直接公聴会に出ることに大反対だったという。

 現在指先を動かすだけで巨億の金を動かす産業が世界を支配している感がある。この中で「ものづくり」の原点を貫くことは容易なことではない。自動車産業がものづくりの原点に目覚めて立ち返ったことはすべての産業に通じることに違いない。社長が単身米社会の本陣たる議会に乗り込んだ姿は「ものづくり」の精神を行動で示す意味があったに違いない。

 私は県議会にいた頃、中小企業憲章をつくることに深く関わった。そこでの県当局との攻防の一つの中心は「ものづくり立県」の文言を入れるか否かだった。私たちは「ものづくり」ということに大いにこだわったのである。トヨタの公聴会に於ける姿を通して企業の大小に拘わらず「ものづくり」の重要性を知った。米議会もメディアも更には世論もトヨタ社長の勇気と誠意に心を動かされたに違いない。(読者に感謝)