人生意気に感ず「オミクロンと民主主義。国内感染は時間の問題。ウイルスとの最後の対決か」
◇南アで見つかった変異株「オミクロン株」の広がりは信じられない程だ。あっと言う間に全世界に波及している。日本での確認も恐らく時間の問題だろう。政府は29日、全世界からの外国人の新規入国を停止すると発表した。「危機管理の要諦は最悪を想定すること」と官房長官は先に述べた。私は今がその最悪を想定して行動すべき時だと思う。岸田首相の即断を私は支持したい。コロナウイルス発生以来政府の対応が後手になったことが批判されてきた。緊急時に於ける民主主義の限界を指摘する声も出た。その声に押されるように異常時に備える法整備の必要性が叫ばれた。その法律が出来ていれば今後の状況によってはオミクロンへの対応としてその法律が出番を迎える可能性があった。岸田首相の今回の決断はその法制がない状態で下されたところに一つの意味があると思われる。今回の状況に於いてはタイミングが非常に重要であった。「まだ状況がわからないのにという批判は私がすべて負う覚悟だ」と首相は決意を語った。島国日本が外国人の全面的な新規停止に踏み切ったことは江戸時代の鎖国を思わせる。
◇この文を書いているのは11月30日の午後5時30分であるが、正にこの時点に私のスマホに「オミクロン株の国内初確認」のニュースが飛び込んだ。今回陽性確認の人物については日本への入国前検疫で新型コロナ陽性を把握し、速やかに隔離したもので、我が国の水際措置が功を奏したものと言える。とにかく、早くもオミクロンが空港の検疫で確認された事実は重い。このことが何を意味するか私たちは慎重に受け止めねばならない。空港検疫の網をくぐって、あるいは空港を経ないで国内にこのウイルスが入り込んでいないとは言い切れないであろう。地方自治体の検査機関の役割は重要である。県には衛生環境研究所という優れた機関があるがこれを有効に活かせるかは行政と民間の知恵である。
◇オミクロンの拡大は果てしなく不気味である。私はコロナ戦争の最大の山場という気がする。南アあたりから暴れ出した怪物は最後の死力を絞り出していると思われる。空気感染が伝えられヨーロッパ各地では海外渡航歴のない人々の間に広がっているということから市中感染の恐れがあるらしい。日本は迅速な対応をとったが恐らく秘かに広がっていると思われる。日本アカデミーで留学生にオミクロンのことを話したらじっと聞き入っていた。アジアでの広がりはまだ聞かないが故郷のことが心配なのだろう。(読者に感謝)