人生意気に感ず「先富と共同富裕、米中対立と日本の役割」  | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「先富と共同富裕、米中対立と日本の役割」 

世界の超大国に踊り出た中国はその力を増大し続けている。一番脅威を感じているのはアメリカである。そして日本は米中の対立の中で特別の立場にあり、また大きな役割を担っている。日米同盟は日本にとって死活の問題であるがアメリカ追随一辺倒でよいのかが今問われている。日中の関係も日本にとって死活問題だからである。来年は日中国交正常化50周年に当たる。そして中国は現在深刻な問題を抱えて重大な変貌の時を迎えようとしている。それをつかんで日本の役割を考えることが今求められている。

◇現在、日中の関係を考える上で歴史的視点を踏まえることは欠かせない。近代中国の歴史はアヘン戦争の敗北に見られるように誇り高い中国にとって屈辱の歩みであった。中国は苦しみの中で生きる道を求めた。 ところで中国は国の方向に影響を与える重要な政策を打ち出す場合に歴史を重視する。中国が歴史を重視する国であることからすれば当然であるが特に重要な場合に「歴史決議」が出された。これは共産党100年の歴史の中で3回しかない。第一回は毛沢東の時、第二回は鄧小平の時、第三回は今回の習近平主席の下でなされた。いかに中国が現在の変化を重視しているかが窺われる。その流れの中で第二回と第三回の関係が特に重要である。第二回の「歴史決議」で鄧小平は「先富」を打ち出した。鄧小平は驚くことに社会主義を基本にしながら資本主義の要素を取り入れたのである。有り余る易い労働力によってあっという間に世界の工場と化し、その結果大きな格差が生まれた。社会主義は平等が大原則である。社会主義はどうなるのかと人々は驚いた。私はかつて中国を旅して大変驚いたことがある。それは上海などの沿岸部は高いビルが林立し街には車があふれているのに内陸に進むと昔ながらの貧しい中国が果てしなく広がっている。これが同じ中国なのかと思ったのである。そこで鄧小平は全てが豊かになる課程で先に一部が豊かになっても良いと主張した。しかし格差は広がる一方でこのままでは社会主義も流されてしまう。そこでギリギリ登場したのが習主席の「共同富裕」である。社会の全てが豊かになる、そして中国の特色ある社会主義を実現するというのだ。習主席は8月の演説で「共同富裕を進める歴史的段階に到達した」と宣言していた。しかし共同富裕を実現することは容易ではない。なぜなら中国は内的にも対外的にも様々な難問を抱えているからだ。そして、それらの課題は世界の問題、日本の問題と結びついている。それはとりも直さず米中対立の間にあって日本が果たすべき役割と関係する。例えば地球環境に関する問題など米中が協力できる課題は多い。それらにつき日本は米中の間に立ってイニシアチブを取る努力を尽くすべきである。(読者に感謝)