「尾瀬国体・秋篠宮殿下に随行して」 2006年2月20日(月) | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

「尾瀬国体・秋篠宮殿下に随行して」 2006年2月20日(月)

※土日祝日は「議長日記」及び「議員日記」を連載します。上毛新聞社から出版したもので、議員時代の私の動きを海外の視察も含めて振り返ったものです。

 

殿下に終日随従して、学問好きで優しい人柄に接することができた。

○尾瀬高校で

校長は「日本で始めての自然環境学科です」といって、自然との取り組みを説明した。続いて行なわれた生徒の発表に殿下は熱心に耳を傾けられた。そして「卒業後の進路は」、「昆虫を捕らえる罠には何か誘うものをおくのですか」、「サンショウウオの体に取り付ける機器の大きさは」などと質問がなされ、生徒はやや緊張気味に答えていた。

○片品村役場の昼食会

殿下の隣りに知事が座り、殿下の正面に森前総理と私が座る。いろいろと話が弾んだ。二人のお子様のことが話題になったとき、私が殿下に訪ねた。

「今の子は家で勉強しないといわれますが、お嬢さまはどうですか」

「ゆとり教育といわれますが、私の子どものころよりやっています」殿下は笑いながら答えられた。ここから、しばしゆとり教育の是非に話が及んだ。そして、殿下は、ニワトリの家畜化の起源のことや、世界のナマズの種類は何千種あるとか、多方面にわたる博識ぶりを示された。

○片品中学校で開会式

 全国の選手団が入場、打ち上げられた花火の音は、まわりの雪の嶺々にこだましながら響き渡った。小寺知事が開会宣言、森体協会長の挨拶、私が県議会を代表して歓迎の挨拶、そして、殿下が祝辞をお述べになった。殿下は、その中で、「皆さんにお会いできて嬉しく思います。多くの人に愛される尾瀬のように、いつまでも人々の心に残る大会になることを願います」と申されていた。

○武尊根小学校で体験学習をご視察

 木造の体育館では、小学生がグループにわかれ、竹とんぼや竹馬づくりに取り組んでいた。殿下は、ナイフを持つ可愛い手もとを見詰めながら、「何年生ですか」、「左右同じ厚さに削るのが難しいですね」、「竹はこの当たりでとれますか」などと熱心にたずねておられた。

 最後の見学の場面はおやき作りであった。うどん粉をねって、小さい玉にちぎり、中にねぎなどの野菜を味噌に混ぜたものを入れて囲炉裏で焼いている。炉には炭が赤く燃え天井から伸びる自在鉤(かぎ)にかかった鍋の上で、こんがり焦げたおやきがおいしそうだった。殿下に質問された村のおばさんが、「昔からこうするんさあね」と地元の言葉で答えていた。一歩先に外へ出てお待ちしているが殿下はなかなか出てこられない。御用係が近づいてそっと話した。「殿下は、子供たちに進められておやきを召し上がっておられます」。

 今日の小学校は総合的学習の時間であった。子供たちにとって、生涯の思い出になる体験となったことだろう。また、皇族と親しく接した体験を歴史や社会の勉強につなげて欲しい。総合的学習の時間の狙いは素晴らしいが、一般的にはなかなかうまくいっていない。

 私が総合的学習のことを口にしたら、殿下は、「他に総合的学習はどのようなことをやっていますか」と校長にたずねておられた。

 夕方岩鞍リゾートホテルに向かう。山々に囲まれた片品の村はまだ厚い雪に覆われている。辻々に立って日の丸の小旗を振る人々の表情は明るかった。