人生意気に感ず「感情的だったアメリカの反省。アメリカの失敗から学ぶべきこと。バイデンの訴え」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「感情的だったアメリカの反省。アメリカの失敗から学ぶべきこと。バイデンの訴え」

◇9・11から20年目の大混乱は信じがたい程だ。400mを超える2つのビルにハイジャックされた飛行機が突き刺さりビルはあっと言う間に崩れた。私は映画「ワールド・トレードセンター」を観た。事実に基づくもので瓦礫に埋まった警官が必死で生き抜くストーリーである。遙かな上空からオフィスの書類が吹雪きのように舞い人々が次々に落下する。2つのビルの犠牲者は2,753人にのぼった。

 2つのビルはアメリカ繁栄の象徴であった。その崩壊は全てのアメリカ人に異常な衝撃を与えた。ブッシュ大統領は「アメリカにつくか、テロにつくか二つに一つだ」と叫び軍事行動に突き進んだ。20年を経て振り返れば全アメリカが感情的になっていた。当時私は県議会にいたが議会内も感情に支配され軍事行動に異論を唱えられる雰囲気は全くなかった。

◇現在、バイデン大統領の撤退の不手際が強く批判されている。撤退は段階的になすべきであった。タリバンが復活し人々は恐怖におののいている。アメリカは天文学的な費用を注ぎ込み死亡した米兵は数千を超える。これらは無駄だったのかという声が湧き上がっている。あるアメリカの専門家は指摘した。「米国は過剰反応による被害妄想だった」。9・11から今日までを見て明らかになったことがある。“上からの力によって一つの民主的な国家をつくることは不可能”ということだ。長い長い民族の歴史がある。宗教や文化の違いがある。国家の建設はそこの国民の手によらねばならないのだ。アメリカの撤退とタリバンの復活により、そこの人々はアメリカに見捨てられたと言っている。9・11から今日に至る流れからくみ取るべき教訓は測り知れない程大きい。それこそがアメリカが払った膨大な犠牲の対価である。

◇バイデン大統領は9・11の追悼演説で述べた。そこでは「結束が最高の米国をつくる。それが9・11の教訓だ」。しかしその一方で次のことを強調した。「われわれは人間の暗部を目の当たりにした。それはイスラム教を信仰する米市民に対する恐怖、怒り、恨み、暴力だ」。これは国民に反省を訴えていることを意味する。そして重ねて重要なことを訴えた。「結束は同じものを信じるということではない。互いに対して、そして米国に対して敬意と信頼を持つことだ。ヘミングウエイが言ったように我々は打ちのめされて強くなる。我々は暗闇に光を明見出す。米国は誰もが平等だという理念をもつ唯一の国。米国は力の誇示だけでなく模範となる力によって世界を先導する」(読者に感謝)