人生意気に感ず「米同時多発テロとタリバンの勝利。民主主義の行方は、覇権の動向は」 | 中村紀雄オフィシャルブログ 「元 県会議員日記・人生フル回転」Powered by Ameba

人生意気に感ず「米同時多発テロとタリバンの勝利。民主主義の行方は、覇権の動向は」

◇15日、アフガニスタンのタリバンは遂に勝利を宣言した。私は直ちに2011年のニューヨークの同時多発テロを想像した。110兆円という天文学的な戦費、2,400人を超える米兵の死者を出したこの20年は何だったのか。アメリカの威信がぐらつき、世界の勢力の構造が大きく揺れている。最新鋭武器を持つ圧倒的な政府軍がタリバンにもろくも敗れ去ったのは米軍が急遽撤退を表明したからである。なぜ段階的に慎重にことを進めなかったのか。アメリカが情勢判断を誤ったのは明らかだ。9・11のワールドトレードセンタービル2つがテロによって崩れた光景は信じがたいものだった。アメリカ中がパニックになったのはよく分かる。しかし直ちにイラクとアフガニスタンの攻撃に踏み切ったのは今から考えれば慎重さに欠け、アメリカの傲慢さの現われであった。攻撃は当然多くの民間人を犠牲にする。それはアメリカに敵対する勢力の憎悪を増幅させる。消えかかったアルカイダの復活とタリバン勢力の急伸の原動力はこの「憎悪」に違いない。アメリカ大使館からアメリカの関係者がヘリコプターで脱出する光景はアメリカの敗北を象徴する。かつてのベトナムからの撤退の二の舞に映る。アフガニスタンはアレキサンダーの遠征にも見られる通り、東西両文明が交差する要衡であった。時を超えて果てしなく続く争いは東西両文明の衝突の一コマに見える。

◇アメリカが撤退を決めた背景には対中国に主力を注ぐという事情がある。米中の覇権争いは激化の一途を辿っている。中国はアメリカの撤退劇を嘲笑って言った。「ベトナム戦での敗北より米国の無力さを鮮明にした」と。

 今後の国際社会の最大の課題はタリバンが勝利したアフガニスタンを承認するか否かである。タリバンは音楽を認めず、女性の教育を禁止するなど極端な人権侵害を行っている。これでは国際社会で孤立してしまう。世界が息を呑む瞬間である。米中の間に立つ日本の役割は益々大きくなっているが日本はそれを果たせるのか。

◇8月14日は私の亡き妻の命日である。十字架が刻まれた亀泉霊園の墓地は小雨の中にあった。私は40歳の命を振り返り目を閉じてこの間の出来事を語りかけた。

◇本県も遂に緊急事態宣言の対象地域となった。県内新規感染者は17日、238人と発表された。累計感染者は11,335人で、内死者は156人である。この数字に麻痺している現実が怖い。(読者に感謝)